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グァルネリウスとストラディバリウスのVnの2大名器による、シベリウスのバイオリン協奏曲の聴き比べ [今日のクラシック]

ネムネコ・ファミリーのブラゲロが、自身のブログでシベリウスのバイオリン協奏曲の動画を紹介していた。


シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ナイジェル・ケネディ(グァルネリウス)
http://d.hatena.ne.jp/bragelone/20170519


ブラゲロには内緒ですが、「確かに、シベリウスのバイオリン協奏曲は有名なバイオリン協奏曲ではあるが、珍しいこともあるものだ」と内心で思いつつ、「何故、このようなことをしたのだろう」としばし考えてみた。


シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ナイジェル・ケネディ(グァルネリウス)


シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ユリア・フィッシャー(ストラディヴァリウス)


シベリウスのバイオリン協奏曲を例に、バイオリンの3大名器のうちの2つである「グァルネリウス」と「ストラディバリウス」の音色、響きの違いを取り上げたかったわけね。納得、納得。

バイオリンの三大名器:ストラディバリウス、グァルネリウス、アマティ

でも、演奏者、独奏者が違うし、録音状態も違うし、この2つを聞いて、「グァルネリウス」と「ストラディバリウス」の音色、響きの違いを聞き取れというのは、あまりに酷な注文のように思う。
録音レーベルがEMIとDECCAだから、そりゃ〜、録音の音質の良さに定評がある2番目の動画のバイオリン、ストラディバリウスのほうが音がいいように聞こえてしまうケロよ。
もっとも、このあたりは録音の音の好みが深く関係するよね。そして、ネムネコのように、EMIの録音の音質に不満を覚えるものは、どうしても、DECCAの録音に軍配を上げてしまう。


ところで、英DECCAの記念碑的な名録音にショルティ&ウィーン・フィルのコンビによるワーグナー作曲『ニーベルングの指環』がある。


この録音が行われたのは1965年でいまから50年以上も前なのに、これほど素晴らしい音質の録音。
演奏の方はウィーン・フィルが少々モタツイた演奏をしているようですが、――ウィーン・フィルとはそもそもモタツイた演奏、音が揃わない(アンサンブルではなく、音の出だしが揃わないの意味)演奏をするオーケストラ。そして、ここにこそウィーン・フィルならではの魅力があった。音がピタリと揃うベルリン・フィルとは対極のオケ!!――、この録音の音質は、聞いてすぐにわかる通り、当時の録音水準からすれば出色のもので、録音史的にも記念碑的な録音であった。

話をVnの音に戻すけれど、ストラディバリウスなどが作成された時代、想定される聴衆の数はせいぜい数十〜100人程度で、演奏会場はせいぜい定員が100人程度の小ホールくらいのものでしょう。対して、現代は、Vn協奏曲などだったら、聴衆の数が数百〜2000名、そして、演奏会場は大ホール。同じ楽器、同じ奏者であっても、ホールによって観客席で聞こえる楽器の音は変わってくるから、ストラディバリウスなどの古い時代の名器の音が、はたして、1000人規模の大ホールに適応できるかという問題があらたに出てくる。そもそも、ストラディバリウスなどの古い楽器は、このような大ホールで演奏することを想定して作られていないからね〜。私には真偽の程は確かめようがないけれど、「現代の楽器と比較すると、ストラディバリウスなどの古いVnは音が小さい」と言われる。だ・か・ら、3大名器は、小さな部屋ではよく響きいて、その音をよく聞き取れるけれど、大ホールでは音が小さすぎて、あまり響かない、よく聞こえない、なんてことが起きるかもしれない。当然、ここで聞き手の判断が分かれてしまう。比較的小さな演奏会場ではAの方がよく響き、大きな演奏会場ではBの方がよく響くということは実際に起こりうることなのだから。そして、これはA、Bどちらの楽器が優れている、音色が優れているかではなく、楽器の特性、個性として理解すべきなのではないだろうか。
で、ここで言いたいのは、演奏会場の音響特性、ホールの大きさなどを無視し、楽器の音色を一律に議論することは、実はそれほど意味のあることではなく、場合によっては判断を誤りかねない危険なこと、ということ。

昔々、ウィーン・フィルが来日し、NHKホールなどで演奏したとき、その音がレコードの音とあまりに違いすぎて、そのあまりの落差のために、腕の悪い楽員を来日メンバーに選んだんじゃないかと言われたことがあるそうな(笑)。
同じメンバーであっても、演奏会場が違えば、違った音に聞こえるんです。さらに、湿度や音頭などの気候条件によっても、楽器の音は微妙に違うんです。「楽器の音はナマモノで、同じ演奏者、同じ楽器、同じ曲の演奏であっても、日によっても微妙に違うんだ」ということを忘れちゃ〜、駄目なんじゃないですかね。

タグ:クラシック
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Tastenkasten

この動画を提供したのは私ですよ。
録音や演奏で違う、というねむねこさんの言い分はよくわかりますが、この曲のほかに、バッハの無伴奏パルティータと、パガニーニの24の奇想曲でも、ストラドとガルネリの比較用録音を提供しています。もちろん条件は異なりますが、スタジオ録音の場合はマイクがそれほど楽器から離れることはないので、音色はかなり直接的に入ってきます。この3種類の曲で2種類の楽器を順に聞いていくと、二つの楽器の音色の違いはある程度明瞭に浮かび上がってくると思います。

>で、ここで言いたいのは、演奏会場の音響特性、大きさなどを無視し、楽器の音色を一律に議論することは、実はそれほど意味のあることではなく、場合によっては判断を誤りかねない、ということでした。

この点には全く同感なんですよ。比較実験の意義そのものが私には理解できないんです。ただ、ぶらげろさんはまだなにかおっしゃりたいことがあるようなので、もう少し煮詰めなくてはならないようです。

by Tastenkasten (2017-05-20 00:26) 

nemurineko

こんにちは。

パガニーニの24の奇想曲。シベリウスのバイオリン協奏曲の動画を紹介したのはTastenkastenさんだったんですか。
どちらもバイオリンの曲としては有名曲ですけれど、
ブラゲロのブログを見て
「ブラゲロがクラシックを聞くことは知っているけれど、一体、どうやってストラディバリウスなどのバイオリンの名器による演奏を調べたんだろう」
と、不思議には思っていたんです。
そして、「よく見つけたもんだ」と感心していた(^^ゞ

パールマンのVnはガルネリですよね。確かに、音は違いますね。

ツィンマーマンのVnは、ストラディバリウスそれともガルネリ?
ネットで調べたところ、13年間使ってきたストラディバリウスを手放さざるを得なくなり、ガルネリを使い出したなんて書いており、どちらの楽器を使用しての演奏なのか判断に苦しんでおります。

サルヴァトーレ・アッカルドは、ウィキペディアの記事によりますと、ストラディバリウスを2丁、ガルネリを1丁持っていたようですし、コチラもどちらのバイオリンによる演奏なのか判断に苦しんでいます。

素人ですから、聞いただけでどちらかなんてわからないです。
ピアノのベーゼンドルファーならば、「このピアノの音、他のピアンの音とどっか違わないか?ひょっとして、アレか・・・」と感じることがありますけれど。

https://youtu.be/0582H1fdMos
を聞いたとき、「このピアノの音、やけに低音が豊かで、響くな」と強い衝撃を受けた。YouTubeのものだと音の違いは聞き取りにくいと思いますけれど・・・。

ただ、演奏者と楽器によって、同一曲であっても、音が随分と違ってくることだけはハッキリと聞き取れます。

by nemurineko (2017-05-20 13:38) 

nemurineko

Vnなどの弦楽器ならば持ち運びが簡単ですけれど、ピアノとなると、そうはいきませんよね。
有名な世界的ピアニストになると事情が違うのでしょうけれど、それほど有名でないピアニストや駆け出しの若手ピアニストだと、ホール所有のピアノということになりますよね。
聞いた話ですと、ミケランジェリは、用意されたピアノの音が気に入らなくて、演奏会当日(?)に演奏会を中止したことがあるとか、ないとか。
学生時代に読んだ、某クラシックのレコード雑誌か何かで、このようなエピソードが紹介されていた記憶が・・・。
NHKのドキュメンタリー「プロジェクトX」で、昔々、リヒテルとヤマハのピアノの秘話が紹介されていました。
リヒテルが初来日した1969年当時、日本は未だ貧しくて、コンサート会場などに海外の高い有名なピアノメーカーのピアノなんて置いてなかった。国内のヤマハのピアノくらいしか用意できなかった。世界的な大ピアニストのリヒテルが無名なヤマハを弾いてくれるのか・・・。
こんな話だったような♪

リヒテル愛用のYAMAHAのピアノ
https://youtu.be/1QYhq6IH-1o


by nemurineko (2017-05-20 13:59) 

Tastenkasten

>パールマンのVnはガルネリですよね。確かに、音は違いますね。

ハズレです(笑)。向こうのブログに詳しく書いてありますので御覧ください。パールマンの録音で使われたのは、黄金期のストラディヴァリウスです。ツィンマーマンの楽器の話はつい最近のことで、貸与と買い取りのトラブルです。
http://violinear.com/violin-what-becomes-of-zimmermann-strad-4/

パガニーニの奇想曲の録音で使われたのは、二つの異なるストラディヴァリウスで、前半12曲と後半12曲で分けられています。この二つを録音で聞き分けるのはちょっと無理と思いますが、性能の良いヘッドフォンで集中して聞けば、あるいはわずかな差が聞き取れるかもしれません。もう一つ紹介した、サルヴァトーレ・アッカルドによる奇想曲の録音がグァルネリウスです。
バッハの無伴奏パルティータは、ギル・シャハムとイザベラ・ファウストの録音がストラディヴァリウス、ギドン・クレメルがグァルネリウスです。ただし、イザベラ・ファウストは、バロック・ヴァイオリンの演奏法(弓、ヴィブラート)を使っているため、音色はかなり違います。これは、演奏方法で音色がいかに変わってしまうかの例として紹介しました。
しかし、バッハ、パガニーニ、シベリウスの3曲で比べていくと、ストラディヴァリウスはとにかく明るく良く鳴り、グァルネリウスはやや渋い音になるのが共通して聞き取れます。

グルダとシュタイン、ウィーン響によるベートーヴェンの5番は名演です。スタインウェイのフル・コンサート・グランドを使っているでしょうから、低音が豊かなのは当然ですね。楽器の奥行きが長く、その分弦も長くなるからです。
ピアノの場合は、もちろん自分の楽器を持ち歩けないので、コンサート当日になって初めて弾くピアノは非常に怖いですね。立派なピアノがあるにもかかわらず、気に入らないというピアニストが出るのには、調律、調整の問題も大きくかかわっています。ピアノの場合、これが音色を大きく左右しますし、弾き心地も変わります。下のドキュメンタリーは、ウィーンのピアノ調律師がピアニストのために仕事をしている様子を描いたものです(たぶん削除されると思います)。アルフレート・ブレンデルが、リハーサルの最中に気に入らない音があって、微調整をしているのがわかります。こういうことはしょっちゅうありますよ。
https://youtu.be/Fft8HlmKnTU?t=2694

あと、ピアノの場合、演奏テクニックで大きく音色は変わります。たくさんある音をすべて同じ強さで弾くのではなく、全体として響きの結果がどうなるかを耳で聞きながら、あるいは先のことを計算しながらバランスを変えていくのですが、豊富な知識と経験が求められます。

リヒテルはヤマハのピアノがお気に入りで、海外でもヤマハを使い続けました。
https://youtu.be/_t8gKTMnoGo?t=1275
by Tastenkasten (2017-05-20 15:21) 

nemurineko

この記事の
http://d.hatena.ne.jp/bragelone/20170509
コメントに解説があるのですね。

パールマンのVnは、ネットで検索をかけたところ、検索の要約記事にグァルネリという言葉があったので、その記事を読まずに、「パールマンはグァルネリを弾いているのか」と早とちりしました(^^ゞ


by nemurineko (2017-05-20 16:09) 

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