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ホトトギス捕物帖 2章の終わり [ホトトギス捕物帖]

 嘴が床に当たる際に放つ硬質な音、床に打ち据えられる時に聞こえる骨の折れる鈍い音、それらは、ホトトギスの体を床にぶつける度に異なっていた。小さな人間の子供が手にした棒で空缶を叩き、力の入れ方、叩く位置により音色と音量が違うことを発見し、その行為に熱中するように、ムジナも、あたかも自分が一流の音楽家にでもなったような気分で、しっかりと銜えたホトトギスの体を何度も床に叩きつけ、その演奏に没頭し始めた。
 頑是無い子供のすること。大目に見てやるのが大人の度量である、と暢気に構えていたホトトギスであったが、やがて彼女の執拗な攻撃に対して苛立ちを感じ始めた。
「いい加減にしろ。さっさと父ちゃんの体を自由にしやがれ。」
 堪忍袋の緒が切れ、ホトトギスはそう怒鳴りつけた。しかし、ムジナはホトトギスの抗議を敢然と無視し、自らが新たに発見した遊びに興じ続けた。
 ホトトギスは、その存在自体が非常識であり、ムジナにその体を激しく床に打ちつけられところで痛痒ほどに過ぎなかったけれど、いつまでも体の自由を奪われていることに激怒し、「これでも食らいやがれ」と彼女の口の中で放屁した。
 スカンクもかくもと感じられるほどの悪臭であった。ムジナは、その悪臭に耐え兼ね、ホトトギスの体を吐き出した。それから、目に大粒の涙を浮かべ、前肢で鼻の辺りを押さえながら、勝利の舞を踊っているホトトギスを睨み付け、猛然と抗議した。
「何を食べたら、こんな臭いおならができるのよ。」
 ホトトギスはムジナに負けじと睨み返し、「知ったことか」と怒鳴り返した後、「親に牙を立てるとは、親不孝この上ない。恥を知れ、恥を」と彼女に罵声を浴びせ掛けた。
「かわいい娘にこんな臭いおならをするなんて、児童虐待以外の何物でもないわ。だから、お詫びの印に何か私によこしなさいよ。」
「児童虐待は確かに犯罪行為かもしれない。しかし、お前は肝腎なことを忘れている。」
「私が何を忘れていると言うのよ。」
 一人娘のムジナが激昂するのとは対照的に、ホトトギスは落ち着き払った様子で「コホン」と一つ咳払いした後、自分の考えを彼女に開陳した。
「まず第一におならは生理反応である。父ちゃんがお前に向かって放屁したとしても、これは不可抗力であって、父ちゃんがその責めを負う必要はない。父ちゃんがさっきおならしたのは、純粋に、偶発的な事故でだからな。次に、お前に向かってウンコやオシッコをしたとしたら、これは悪意以外の何物でもなく、強く断罪されて然るべきであろうが、父ちゃんがしたのはただの『おなら』だ。大体、家族の前でおならをしていけないという決まりはない。したがって、父ちゃんが故意にお前に向かっておならをしたとしても、そのことで断罪される筋合いはない。むしろ、お前は、このことを強い愛情表現だと感謝するべきではないか。さらに、父ちゃんがおならをしたのは、お前に腹部を強く圧迫されたためだ。したがって、父ちゃんがさっき放屁したのはお前自らが招いた結果であって、いわば自業自得である。そもそも、お前が父ちゃんの言い付けに素直に従い、父ちゃんの体を放していれば、こんなことにはならなかったのだからな。したがって、父ちゃんには何も非がない。、どうしてお前に対する賠償責任が発生するであろうか。」
 ムジナの難癖に劣らず、それは屁理屈以外の何物でもなかった。論理自体は無茶苦茶であったが、一応筋が通っており、ムジナは返答に窮してしまった。そして、駄目押しとばかりにホトトギスはこう言い放った。
「お前が密かに心を寄せているあの好色鼬(いたち)のおならの匂いは、父ちゃんのおならの比ではないぞ。スカンクが鼬の仲間であることより、また、古来より、鼬の最後っ屁と人々に恐れられていることより、このことは明らかだ。父ちゃんのおならの匂いに文句を言うくらいなら、あの好色鼬のことを諦めるんだな。」
「オコジョは、鼬ではないわ。鼬と一緒にしないでよ。それに、オコジョは、父ちゃんと違って、おならなんかしないわよ。だって、オコジョがおならをするところを私は一度も見たことがないのだから。」
 オコジョのおならが猛烈な悪臭を放つかどうかは別にして、ムジナと相思相愛の仲であるオコジョは、事実彼女の前ではおならをしなかった。また、オコジョは、森の貴婦人と呼ばれる通り、極めて美しい外見をしており、そんなことは絶対にありえないのだけれど、美人はおならをしない、トイレに行かないと幻想を抱かせるように、優雅で美しいオコジョがおならをしないと、彼女が勝手に思うのも無理のないことであった。
 しかし、それは幻想に過ぎない。美人がおならをしない、トイレに行かないと言うのは、美しい容姿に相応しくないそのような行為を想像できないからであり、そうあって欲しいという願望に過ぎないのだから。
 そのことをホトトギスに指摘され、現実の残酷さを思い知らされたものの、ムジナは「フン」と鼻を鳴らした後、「確かにオコジョもおならをするかも知れないわ。でも、オコジョのおならはきっと良い香がするにちがいないわ。少なくとも、父ちゃんのように臭い筈がないもの」と反撥した。
「これだから、お馬鹿な子供は困るのだ。父ちゃんの恋人兼婚約者であるセイラでさえ、おならもすれば、トイレにも行くんだぞ。そして、時に父ちゃんですら顔を背けたくなるような、臭いおならをすることだってある。であるからして、どうして、オコジョのおならが臭くないということがあり得ようか。もっと現実を直視しろ。」
「うるさいわね、父ちゃん。父ちゃんが何を言おうと、私は、父ちゃんの話を信じないわ。」
 負け惜しみとも取れるその言葉を残し、ムジナは彼を残しその場を去って行った。彼女の後ろ姿を見送りながら、ホトトギスは大きな溜め息を一つ吐いた。そして、彼もまたその場を立ち去り、何処かへと飛んで行った。


今日のアニソン、「ジャングルはいつもハレのちグゥ」から「Love Tropicana!」 [今日のアニソン・アーカイブ]

今日のアニソンは、「ジャングルはいつもハレのちグゥ」から「Love Tropicana!」です。



夏らしい曲をセレクトしました。


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微分係数と微分可能性の問題 [ネコ騙し数学]

微分係数と微分可能性の問題


問題1 関数f(x)x=aにおける微分係数f'(a)が存在するとき、つぎの極限値をaf(a)f'(a)を用いて表せ。

  

【解】

(1)

  

h→0のとき

  

よって、
  bikeisuu-01.png

(2) x=a+hとすると、h=x−a

よって、x→aのとき、h→0
  bikeisuu-02.png

(解答終わり)


(2)は、次のように解くこともできる。


【別解】

  

よって、

  

(別解終わり)

 


問題2 関数f(x)が任意の実数x,yに対して常に

  

を満足しているとき、次の問いに答えよ。

(1) f(0)を求めよ。

(2) f'(0)=0として、x=aにおける微分係数f'(a)を求めよ。

【解】

(1)

  

x=y=0を代入すると、

  


(2)

  

よって、

  

(解答終わり)

(2)より、問題2の関数は、x=0で微分可能ならば、任意の点aで微分可能なことが分かる。

また、(2)より、f(x)=x²である。

問題3 次の関数の連続性と微分可能性について論ぜよ。

  

【解】

(1)

  

よって、 となり、f(x)x=0で連続である。

x≠0のとき

  

x→0のとき、sin(1/x)は振動し収束しないので、f(x)x=0で微分可能でない。

(2)

  

よって、g(x)x=0で微分可能である。

x=0で微分可能だから、g(x)x=0で連続である。

(解答終わり)

定理

f(x)x=aで微分可能ならば、x=aで連続である。

【略称】

  

よって、x=aで微分可能ならば、x=aで連続である。


タグ:微分積分

ホトトギス捕物帖 2章の続き6 [ホトトギス捕物帖]

 心神耗弱状態下における犯罪行為については、その責任能力を問うことができないという考え方が主流になったのは近現代のものである。そのため、情状酌量の余地はあるであろうが、その理屈がセイラに通用する筈がなかった。
「訳の分からない話をして、煙に撒こうとしているんでしょう。誰があんたのその姑息な手に引っ掛かるものですか。さあ、何を企んでいたのか、正直に答えて貰おうじゃない。」
「本当なんだ。低血糖状態で、僕は何も考えることができなかったんだ。だから、僕のいうことを信じてよ、セイラ。」
 そう言って、ホトトギスは円らな瞳に大粒の涙を浮かべた。理屈が通用しないのならばセイラの情に訴えかけようと、涙を浮かべ、自分の無実を主張しようとしたのであった。しかし、そんなホトトギスの魂胆など、彼との付き合いの長いセイラは、お見通しであった。彼を鷲掴みする手にさらにに力を込めた後、セイラは饒舌な彼の嘴を軽く左の人差し指で弾いた後、鬼のような形相を浮かべた。
「これだけべらべらと喋っておいて、あんたが栄養不足で何も考えることができないという話を信じろと言うの。呆れてものが言えないわ。」
 そう言った後、セイラは、意識を取り戻し彼女の足元でお座りをしているムジナに視線を向け、ムジナにこう問いかけた。
「あんたもそう思うでしょう。それで相談なんだけど。あんたは、このホトトギスをどうして欲しい。」
 血こそ繋がっていないものの、ホトトギスは、彼の娘であるムジナに二度も飛び蹴りを食らわせたのである。それだけでも、強く断罪されて然るべきであろう。その上、ホトトギスは、ムジナが請求した贖罪の品であるチョコレートを払おうとしなかった。情状酌量の余地は何処にもなかった。ムジナは、後ろ足で立ち上がると、自由になった前肢で拳闘のような仕種を始め、ホトトギスにお仕置きをするべきだと言う旨を彼女に伝えた。
「あんたもそう思っているみたいね。やっぱりお仕置きをしないとね。」
 セイラは、嬉しそうに微かに口元を綻ばせると、生き生きとした表情を浮かべ、ホトトギスに殴る蹴るの暴行を加えた。最初の内、ムジナは満足そうにその光景を座って眺めていたが、やがてそれにも飽きて、その凶行に参加した。
 曲がりなりにもホトトギスはムジナの育ての親である。お腹を空かせた身寄りのないムジナを引き取り、我が子同然に、ここまで大きく育てたのは、ホトトギスである。その大恩あるホトトギスの体に、ムジナは容赦なく牙を突き立てたり、後ろ足で蹴りを食らわせたりもした。
 恩を仇で返すようなムジナのこの行動に憤慨したのは、セイラからの激しい暴行を受け落命した筈のホトトギスであった。ピクピクと小刻みに死後痙攣しながら、ホトトギスはムジナを睨み付けた。
「父ちゃんの亡骸に牙を突き立てるとは、どういう料簡をしているんだ。これだから、四つ足の獣は、畜生と呼ばれて馬鹿にされるのだ。さあ、分かったら、死んでいる父ちゃんのすることの邪魔をするな。そして、父ちゃんの体を口から放し、あっちに座って、『セイラ姉ちゃんは、私の大切な父ちゃんに何て酷いことをするのよ。お詫びの印に、父ちゃんの頭を優しく撫でてやるべきよ』と非難する視線を向けるんだだ。分かったら、さっさと取り掛かれ、この親不孝娘。」
「何、馬鹿なことを言っているのよ、父ちゃん。」
 予想外の返答にホトトギスが驚きの表情を浮かべると、ムジナは次のように答えた。
「さっき、父ちゃんは、セイラお姉ちゃんが父ちゃんに暴力をふるうのは父ちゃんへの愛情表現だと教えてくれたばかりじゃない。私は父ちゃんのその教えにしたがって、父ちゃんの体に牙を突き立てて、父ちゃんへの愛情を率直に表現しているの。だから、父ちゃんは、私に文句を言わず、感謝すべきよ。分かったら、素直に私の愛情を甘受しなさい。」
 そう言い終えると、ムジナは、再び鋭い犬歯を彼の体に深々と突き立てた。捉えたアザラシや海豚に鯱がそうするように、その後、ムジナは頭を何度も激しく横に振り、しっかりと銜えたホトトギスの体を床に打ちつけた。


今日のアニソン、ゲーム「ラムネ」から「ラムネ」 [今日のアニソン・アーカイブ]

暑いから、「ラムネ」を飲みたくなったにゃ。
ということで、
今日のアニソンは、ゲーム「ラムネ」から「ラムネ」です。



そして、同じく「ラムネ」からこの曲を。




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平均変化率と微分係数 [ネコ騙し数学]

平均変化率と微分係数


§1 平均変化率


graph-010.png

関数y=f(x)x=aからx=bまで変化すると、それに応じてyf(a)からf(b)に変化する。

その値の変化は

  xの変化(増分) b−a

  yの変化(増分) f(b)−f(a)

であり、変化の割合は

  

である。、これをy=f(x)x=aからx=bまでの平均変化率という。

グラフでは直線ABの傾きをあらわす。


§2 微分係数


関数y=f(x)x=aにおける微分係数

  

あるいは、

  

である。

グラフでは、点(a,f(a))における接線ATの傾きをあらわす。

また、接線ATx軸となす角をθとすると、

  



§3 微分可能

関数y=f(x)x=aで微分係数をもつことは極限

  

が存在することである。このとき、f(x)x=a微分可能であるという。

  

右側微分係数

  

右側微分係数という。

f(x)x=aにおいて微分可能である必要十分条件は、

  

が成り立つことである。


§4 問題


問題1 定義に基づいて、x=aにおける微分係数f'(a)を求めよ。

  

【解】

(1)

  


(2)

  


(3)

  



問題2 関数y=f(x)=x³−4xx=aにおける微分係数が区間[−1,1]における平均変化率に等しくなるようなaの値を求めよ。

【解】

  

[−1,1]における平均変化率は

  

よって、

  


問題3

(1) x=0で微分可能か

(2) 次の関数f(x)x=1で微分可能か

  

【解】

(1)

graph-012.png


  

h>0のとき、|h|=hだから

  

h<0のとき、|h}=−hだから

  

したがって、微分可能ではない。

(2) h<0のとき

  

h>0のとき
  bibun-eq-01.png

よって、微分可能である。


graph-011.png

(解答終わり)
タグ:微分積分

ホトトギス捕物帖 2章の続き5 [ホトトギス捕物帖]

「お馬鹿」といううムジナの言葉を耳にした瞬間、逆上し我を忘れたホトトギスは、「死ね〜」と絶叫し、彼女の額に飛び蹴りを食らわせた。
 父親から額に蹴りを入れた肉体的な痛みより、全幅の信頼を置いているホトトギスから蹴りを入れられたという事実がムジナの心を大きく傷付けた。額に蹴りを入れられ尻餅を撞く格好になったムジナは、ホトトギスに蹴りを入れられた額を前肢で押さえながら、何が起きたのか分からないと言った表情を浮かべ、床の上で勝利の舞をしているホトトギスの姿を呆然と見詰めた。それから、彼女は、凄まじい勢いで捲くし立てた。
「如何なる理由があろうとも、親が小さな子供に暴力を振るったら、それは虐待よ。」
 彼女から猛烈な抗議を受けたホトトギスはと言うと、踊りを止めることなく、彼女の方に「何のことだ」と言いたそうな、人を食ったような表情を浮かべるだけであった。自分の行動に恥じ入る様子を微塵も見せることのないホトトギスの姿を目にし、ムジナも逆上した。目にもの見せて遣るとばかりに、ムジナは、勝利の舞に没頭し、隙だらけのホトトギスに飛び掛かった。
 しかし、彼女の飛び掛かるのを予期していたホトトギスは、難なくその突進を交わし、彼女の体が通り過ぎる際に、挨拶とばかりに今度はおしりに軽い蹴りを入れた。
「これで、どっちがお馬鹿かハッキリしたであろう。だから、これからは、二度とこんな口を聞くんじゃないぞ。」
「かわいい一人娘のオデコに蹴りを入れるだけでも、万死をもって償わざるを得ないのに、私のお尻にまで蹴りを入れるとは、父ちゃんはどういう料簡をしているのよ。さあ、土下座をして、私にごめんなさいをして貰おうじゃない。それから、そうね、賠償としてチョコレートでも出してもらおうかしら。」
「子供だからと思って黙って聞いていれば、土下座の後にチョコレートだ。何、勝手なことをほざきやがる。返答次第によっては、勘弁できん。心して答えやがれ。」
 ホトトギスの恐喝に、ムジナは屈しなかった。
「どんなに凄んでも無駄よ、父ちゃん。父ちゃんが私にこれ以上の手荒い真似ができないことは先刻承知なのだから。さあ、チョコレートを賠償金として支払って貰おうじゃない。」
「チョコレートをよこせだと。その腐り切った性根を叩き直してやる。」
 ホトトギスは、ムジナにそう言うと、再び彼女のオデコに飛び蹴りを食らわせた。そして、ホトトギスは、ひっくり返ったムジナの腹部に飛び乗り、けたたましいばかりの勝利の雄叫びを上げ始めた。
「何時だと思っているのよ、この馬鹿ホトトギス。少しは人の迷惑を考えたらどうなのよ。」
 けたたましいばかりのホトトギスの雄叫びで完全に目を覚ましたセイラは、殺意さえ秘めた物凄い視線でホトトギスを睨み付けた。にもかかわらず、それを敢然と無視し勝利の舞をムジナの腹の上で続けるホトトギスの姿を目にしたセイラは、寝台から抜け出すと、彼の体を乱暴に握り締め、そのまま顔に引き寄せた。
「静かにしなさいと言ったのが聞こえなかったのかしら。」
「二日間ご飯抜きで頭は混乱していたんだ。だから、許してよ、セイラ。」
ホトトギスのこの言葉を聞き、セイラは、ホトトギスを握っている手にさらに力を込めた。
「今日はやけに素直じゃない。どうせまた何か悪事を企んでいるんでしょう。さあ、何を企んでいるか、素直に白状しなさい。」
「僕は、この二日間、水以外の物を何も口にしていないんだよ。これくらいのことは人間にとっては大したことじゃないかもしれないけれど、空を飛ぶために贅肉を極力削ぎ落とし体脂肪率の低い鳥にとっては、二日間ご飯を食べられないということは、人間が二ヶ月ご飯を口にしないと同じくらい大変なことで、生死にかかわるくらいほど危険なことなんだ。そのため、僕の脳は、栄養分である血中の糖分が不足し、正常な思考ができない状態だったんだ。そして、ムジナに蹴りを入れた時、僕は善悪の判断ができない心神耗弱状態だったものと考えられる。心神耗弱状態だったんだから、人事不省であった僕にその間に行ったことについての責任能力を問うことはできないよね。だから、僕を放してよ、セイラ。このままじゃ苦しくて息ができないんだから。」

微分積分 除去可能な不連続 [ネコ騙し数学]

微分積分 除去可能な不連続



f(x)x=a以外で連続で、x=aにおいて定まった値を持たず不連続であるが、

  

が有限確定であるとする。

このとき、x=aにおけるf(x)の値をf(x)=bと定めると、f(x)は連続になる。


  

この関数は、x=20/0で定まった値を持たず不連続。

しかし、x=2におけるf(x)の値を

  

と定義し、

  

とすると、f(x)x=2で連続になる。

 


問題1

  

は、f(0)をどのように定めたら、連続になるか。

【解】

x≠0

  

よって、

  

また

  

ハサミ打ちの定理より

  

である。

したがって、f(0)=0に定めればよい。

(解答終わり)

ハサミ打ちの定理

f(x)≦g(x)≦h(x)かつ

ならば

である。

問題2

  

xのすべての値に対して連続であるようにabの値を定めよ。

【解】

|x|>1のとき

  

|x|<1のとき

  

x=1のとき

  

x=−1のとき

  

x=1で連続であるためには

  

x=−1で連続であるためには

  

でなければならない。

①と②よりa=0b=1である。

【解答終わり】

極限の計算で、

  

を使っている。

さらに、

  

を使っている。

タグ:微分積分

ホトトギス捕物帖 2章の続き4 [ホトトギス捕物帖]

 昨晩、一緒にウンコをし、蛞蝓の話をしたことにより、ムジナのホトトギスに対する恨みはすっかり晴れていた。そして、いつもより早めに目を覚ましたムジナは、父親の濡れ衣を晴らそうとセイラの寝台の上に飛び乗り、早く起きるようにと、セイラの顔を舌で舐め始めた。
 そのザラザラとした何とも不快な感触にセイラが目を覚ますと、ムジナがちょこんと腰を下ろし円らな瞳でセイラの顔を見上げていた。
「お腹でも空いたの。だったら、ホトトギスからなんか食べ物を出してもらいなさい。」
 眠そうに目を擦りながらそう言った後、セイラが二度寝をしようと彼女に背を向け寝台に横たわろうとすると、ムジナは先回りをして、そこで、真剣な表情でセイラの顔を覗き込んだ。
「お腹が空いているんじゃないわ。私の話をセイラお姉ちゃんに聞いて欲しいのよ。」
 ムジナはそう語りかけた。だが、彼女はムジナであり、セイラは人間であった。彼女の必死の呼び掛けがセイラに通じることはなかった。
「朝っぱから大きな声を出さないで。まだ眠っている人が多いんだから。良い子だから、分かったわね。」
 そう言って、口を塞ぐと、セイラは力に任せてムジナを寝台から追い出した。そして、再びすやすやと心地良さそうに眠り始めた。
 神に仕える身でありながら、セイラは朝には弱かった。それだけならまだしも無理に起こそうとすると、暴力を振るうことさえ日常茶飯であった。現に、ムジナは、これまでに何度も、血に染まるホトトギスの姿を目にしており、これ以上、父親の無実を告げるためにセイラを起こそうとすると、自分の生命を危機に曝す虞があると判断し、それを断念した。
「それにしても、セイラお姉ちゃんは、朝に弱いわね。こんなに朝に弱い人をお嫁さんに貰ったら、父ちゃん、大変よ。それに、お姉ちゃんより綺麗で気立ての良い人は一杯いるわ。考え直した方が良いんじゃない、父ちゃん。」
 セイラはかなりの美人である。だが、この神殿には、セイラ以上の美人は何人もいる上、気立ての良い女性も大勢いた。そして、その誰もが、自分と彼女の父親であるホトトギスにセイラより優しく接してくれていた。そうした女性の誰もが、機嫌が悪いと父親であるホトトギスに八つ当たりをし、時に激しい暴行を加えるセイラよりお嫁さんとして相応しいのは明らかのように思えた。だから、ムジナは自分の考えを率直に告げたのであった。
 セイラの目を喜ばすためだけに入念に毛繕いをしていたホトトギスは、ムジナのその言葉を耳にすると殺意を秘めた恐ろしい視線を投げつけた。それから、幾分表情を和らげ、毛繕いをしながら、馬鹿にしたようにこう言い放った。
「子供のお前には分からないだろうが、大人の恋には色々の形態がある。例えば、セイラは、怒りに任せ我を忘れ父ちゃんに。ただ、暴力を振るっているかのように見えるかもしれないけれど、あれはセイラの父ちゃんに対する過激な愛情表現だ。お前も知っていると思うが、兄弟が違いの体を甘噛みするだろう。セイラが父ちゃんの頭を叩いたりするのは、その甘噛みと一緒だ。決して、父ちゃんのことが憎かったり、嫌いだから、叩いている訳ではないのだ。そこを誤解してもらっては困る。」
 動物の求愛行動は実に多様である。他の種族の目には喧嘩としか映らない激しい方法でお互いの気分を高揚させたり、お互いの愛情を確認するものもさほど珍しくない。それ故に、愛情表現の下手なセイラが、暴力という激しい手段でホトトギスに愛情を表現していると考えられなくもなかった。ムジナは、そう思い直し、毛繕いをするホトトギスの顔をまじまじと覗き込んだ。
 良く考えてみると、本当にそうなのかもしれないわね。
 一瞬、そう考えたものの、暢気そうに鼻歌交じりで毛繕いをしているホトトギスの姿を目にしているうちに、「今まで父ちゃんは頭がいいと思ってきたけれど、実は自分の無知を隠すために、訳の分からないことを言って、煙にまこうとしているだけなのかもしれない」と、疑い始めた。
 私が、昨日、「どうして蝸牛に殻があるのに、蛞蝓には殻がないの」と尋ねたら、荒唐無稽な話をして誤魔化そうとしたじゃない。そうよ、父ちゃんは、実はお馬鹿だったのよ。
 そう結論を出したムジナは、思い切って、そのことを直接ホトトギスに確かめることにした。
「これだからお馬鹿な子供は困ると、父ちゃんは、いつも、私のことを馬鹿にしているけれど、お馬鹿なのは、実は私じゃなくて父ちゃんの方じゃないの。図星でしょう、父ちゃん。」

数列とは何か [ネコ騙し数学]

数列とは何か


数列とは何か?

数列の定義は意外に難しいらしく、ネットでいくつかその定義を調べてみたところ、

数列とは、ある規則に従ってならべられた数の列のこと

くらいの定義しかないようだ。

名著とされる高木貞治の『解析概論』では、次のように数列が定義されている。


のように、無数の数を一定の順序でならべたものを数列という。その項は自然数の範囲内において変動する変数nの’函数’である。この函数が確定したときは、数列をと書く。


まだまだ文学的な表現で、定義としては不十分のように思う。

その点、とある本に書いてある数列の定義は実に明快だ。

自然数の全体をNであらわす。

NからRへの写像

実数列あるいは単に数列といい、あるいは単にとあらわす。これは実数をとならべたものである。


なお、ここで、Rは実数のことである。


この定義によれば、自然数Nから実数Rへの写像、関数を特に数列と呼び、区別しているようである。

ではあるが、これではあまりに抽象的でわかりづらいと思うので、高校数学風の次の定義を紹介する。


ある規則によって何番目の数が何であるかが定められる数の列を数列といい、数列を作っている各数をという。

という数列があるとき、初項第2項、……、nという。

数列をまたは単にとあらわす。


数列には、無限に続くもの(無限数列)と有限で終わるもの(有限数列)がある。有限数列においては、項の個数を項数、最後の項を末項という。

nの式の形で書かれ、それによって数列が一般的に示されるとき、一般項という。


  

という数列があったとき、一般項は

  

である。

問題 次の数列の空所を満たし、その第n項を求めよ。

  


【解】

  

(解答終わり)

どうやって、この関係を見つけたって?

(^^

(1)は、n1増えるごとに、1/2減っているようなので

  

らしい。

(2)は勘だにゃ。


(3)は、nが1増えると、3/2倍になっている.


(4)は、分子が1, 3, △, 7だから、2n-1と推測できる。分母は2, 4, ◯, 16だからと推測できる。

したがって、

  

であろう。

実は、この手の問題は、一般項の式がひと通りに決まらない。複雑な式で□の部分を予想でき、その推測式によって□の値が変わる。


例えば、(2)、(4)はラグランジュ補間を使って

  

nの2次式の形で一般項を求めることができる。

(3)は、ラグランジュ補間を使うと

  
と2次式ので一般項を求めることができるのだ。



ラグランジュ補間


ラグランジュ補間を使うと、というn+1個の相異なる点があるとき、このすべての点を通るn次式を求めることができる。

の3点であるとき、2次のラグランジュ補間の式は

  

である。
上の補間式に使うと

  

になることを確かめて欲しい。


タグ:数列