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今日のクラシック ジョージ・クラム作曲『A Haunted Landscape』 [今日のクラシック]

今日のクラシックは、アメリカの現代音楽の作曲家ジョージ・クラム作曲『A Haunted Landscape』です。



A Haunted Landscapeは、日本語に訳すと、
(悪霊などに)取り憑かれた景色(or 風景)
くらいになるのでしょうか。
 例:hounted house 幽霊屋敷

曲のタイトルが示すように、どこかオカルティック、ホラー的な感じのする曲である。
聞いた感じですと、具象的な風景画的な描写ではなく、その場に立った時に感じた、正体不明の、漠然とした恐怖や戦慄といったものを音楽・音響的に表現したものなのでしょう。

ネムネコ秘密の情報源には以下のような説明がある。

解説によると、この曲は標題音楽ではなく、風景を見るときの繊細な感情を表しているのだといいます。その場所は、地球上のどこかの、いまだに現代人の意識にも染み込んでくるような神秘的なオーラと古い歴史が込められている場所、エルサレムでもデルフィでもよいし、作曲者が住むウェスト・ヴァージニアの、絶滅したインディアンの霊を感じる森でもよいのですが、そういう場所で風景を見るとき、意識と無意識の間を浮遊する繊細な感情のニュアンスを表現するために、音楽は最も適した媒体だと作曲者は述べています。ちょっと聞くと恐ろしげな雰囲気なので、「オカルト」、「ホラー」などとブログに書いている人がいますが、これは不正解です。過去の歴史を感じる場所で風景を見た時の形容しがたい感情を表現したものだからです。その不思議な感覚を見事に表現した曲です。曲の大部分は静謐な雰囲気ですが、不思議な音響や古代的な旋律が断片的に出てきたり、恐怖のような、叫びのようなパッセージが出てきたりします。人間の精神の内面と外界の風景という二つの次元を見事に結び付けています。
この解説は言い得て妙だと思う。
日本的な風景でならば、日本の山奥にある、鬱蒼と木々が茂る原生林の奥にひっそりと潜む大木。
これを目にした時に感じる畏怖や恐怖、そして、そこに霊威や神・祖霊の宿りを感じ取り、それに恐れおののく、こういった自分自身、理解不能な、説明困難な感情、思い、そういったもの。
そして、これは、われわれ人類の遺伝子に刻み込まれたもので、数千年、いや数万年変わることなく抱き続けているものなのかもしれない。

また、秘密の情報源には次のように書かれていた。
クラムはドビュッシーやバルトークから影響を受けているということです

私は、この曲を聞いて、バルトークの『中国の不思議な役人』に似ていると感じた。



この記事を書きながら、いま、バルトークのこの曲をざっと聞いている限りだと、それ程似ているようには思わないのだけれど、何故か、ジョージ・クラムのこの曲にバルトークを感じたのだ。
ただ、
バルトークのこの曲の方がずっと派手で、ホラー的な色彩は強い!!のだが。
そして、具象的だ。

ジョージ・クラムのこの曲は、バルトークのこの曲ほどに難しくなければ、演奏時間も長くない。
だから、聞いて損はないと思う。
毎日、聞きたいかと尋ねられたら、正直、返答に窮してしまうのだけれど、現代音楽の名曲の一つに数えて間違いはない曲だと思う。


ぬか漬け 2章の始まり [ぬか漬け]

糠床2

 涎を流し、セイラの豊かな胸の間ですやすやと眠っていたホトトギスは、夜明け前の寒さで目を覚ました。
体をぶるっと大きく震わせた後、蒲団を抜け出し、ホトトギスは、セイラの耳元に優しく囁きかけた。
「もう朝だよ。糠床を掻き回す時間だよ、セイラ。起きて、起きて。」
「何だって言うのよ。まだ起床時間前でしょう。静かに眠らせてよ、ホトトギス。」
 岩のように硬い意志の持ち主でさえ、夜明け前の冬の朝に蒲団から抜け出すには、並々ならぬ決意が必要である。清少納言がその随筆の中で「冬はつとめて」と書き記しているのも、これも、考えようによっては、冬の朝の蒲団の温かさの恋しさを婉曲的に表現していると考えられないことはない。時代を問わず、冬は蒲団が恋しいものである。セイラがホトトギスの呼び掛けに応じないのも無理のない話であった。
 湿度が高く、蒸し暑い梅雨の終わり、あるいは真夏などは糠が腐り易くなり、そのため糠床の管理をこまめに行わなければならない。一方、温度と湿度の低い冬は、それほど糠床を肌理細かく管理する必要はない。何も世話をしないで一週間くらい放置しても、どうと言うことはないのかもしれない。
 だが、糠床は人間の子供と同じように生きており、愛情を注げば注ぐだけその思いに答えてくれる。子育てと同じで過保護は問題外であろうが、甘やかしにならないよう細心の注意を払い、優しく接していれば、美味しい糠漬けを提供してくれる。一日でもそれを疎かにすれば、糠が弱り、雑菌が繁殖する虞がある上に、それ以上に漬物が不味くなる。正式な神殿の構成員であるセイラと違い、単なる神殿の居候で、自分の食糧は自分で確保しなければならないホトトギスにとって、これは看過し難いことであった。ホトトギスは珍しく怒りの表情を浮かべセイラの耳元に再び優しく囁きかけた。
「そんなことを言わないでよ、セイラ。僕を助けると思って、糠床を掻き回してよ。そうすれば、セイラの手も綺麗になるし。」
「あんたが生きようが死のうが、私には関係がないわ。むしろあんたが綺麗さっぱり死んでくれたら、どれくらい私の気が晴れることか。それに、私の手は、あんたのガサガサした足の皮と違って綺麗よ。肌が綺麗なるのなら、私じゃなくて、あんたがやった方がいいじゃな。お願いだから、静かに眠らせてよ、ホトトギス。」
 糠床を朝夕掻き回してくれると約束しておきながら、舌の根が乾かない内にその言葉を翻し、約束を反故にするとは、一体どういう了見をしているのだろうか。真実の言葉だけを話すべき神官が嘘を言っていいものであろうか。たとえ、神様がそのことをお許しになったとしても、ホトトギスはそのことを許すことはできなかった。
 そこで、セイラの考え違いを正さなければ、と考え、ホトトギスは、恐い表情を浮かべ、彼に背を向けているセイラの後頭部を見下ろした。そのままセイラに激しい叱責の声をかけるかに思えたホトトギスは、彼女の意表を突き、突然土下座をして彼女に懇願した。
「お願いします。なにとぞ、目を覚まして、糠床をかき混ぜて下さい。」
 放っておけば、ホトトギスはいつまでそれを続けるか分からない。このままホトトギスに背を向けて無視し続けることも可能であったが、隣近所の目もある。男っ気のない神殿にただ一人寝泊まりを許され、セイラを除く神殿中の女性神官からちやほやされている神殿のアイドルとも言えるホトトギスをあまりぞんざいに扱うと、同僚から何を言われるかわかったものではなかった。また、一旦目を覚まし、糠床をかき混ぜた後、静かに眠ることもできる。本当、手間のかかるホトトギスなんだから、と心中で愚痴を言いながら、セイラは蒲団から抜け出した。
「さあ、糠床をかき混ぜたわよ。」
 セイラが糠床をかき混ぜているその姿に目を細めていたホトトギスは、面倒臭そうにそう話しかけると、「ご苦労様でした」と言って、水の入った洗面器とタオルを彼女の方に差し出した。
「気が利くじゃない。」
 セイラは、彼の用意した水に糠のついた手を浸した。身を切るような冷たい水に、セイラが「何よ、水じゃない。お湯はないの」と不満の声を漏らすと、ホトトギスはこう切り返した。
「お湯は、お肌の大敵なんだ。手の表面を保護するために、それを覆っている油分を溶かし、肌荒れの原因になるんだ。しかも、冬は乾燥していて、手は痛み易いの。だから、どんなに冷たかろうと、手のことを考えると、お湯を使ってはいけないんだ。文句を言わず、それで手を洗ってよ。」
 意地悪で水を出しているわけではない。自然科学を超越する、超自然的な能力を有しているホトトギスは、その気になれば、彼女が今手を洗っている水を瞬間的に適温のぬるま湯に変えることができた。そして、ホトトギスがそうしないのは、出し惜しみからではなく、本当に自分の手のことを心配しているためである。セイラはこのことを誰よりもよく理解していた。しかし、それはあくまで頭のことであり、体は別であった。何で朝早く叩き起こされ、糠床を掻き回さないといけないのよ。そんな健気な私にお湯を出しても罰は当たらない筈よと、セイラの唇が造反を起こした。
「でも、私はお湯がいいの。お湯を出しなさい、ホトトギス。」
 セイラの唇の居丈高の命令を何処吹く風と聞き流した。セイラが観念してその水で手を洗うのを確認してから、ホトトギスは持っていたタオルをセイラに渡した。
「よくこれで手を拭いてね、セイラ。手に水が残っていると、皸(あかぎれ)や霜焼けの原因になるといけないから。そして、その後で、僕の特製アロエハンドクリームを塗るといいよ。」
 セイラの美貌を保つために、ホトトギスは、昨年、アロエハンドクリームを完成させた。それは一角大雪兎と超ハイテク算盤の協力を得て完成させた特製ハンドクリームであった。保湿効果があるだけではなく、火傷にもよく効き、それをお湯で溶いて飲めば胃腸薬にもなる、非常時には食糧にさえなるという優れものであった。
「何だか随分と鮮やかな緑色ね。これを手に付けても、本当に大丈夫なの、ホトトギス。手がかぶれたりするのではないでしょうね。」
 ハンドクリームなど何処にも存在しないこの世界のことである。セイラが毒々しいまでに鮮やかな緑色をしているアロエのハンドクリームを気味悪がるのも無理がなかった。
「カイのおでこで人体実験をしてあるから大丈夫。かぶれたりしない。だから、何も心配は要らないよ、セイラ。さあ、アロエクリームを手に付けてみよう。」
 よもや毒を自分に遣したりすまい。新しい軟膏だと考えれば良い。
 セイラは、自身にそう言い聞かせて、思い切ってアロエクリームを手に付けてみた。
 このところ乾燥気味の肌に潤いが幾分戻ったような気がした。これに味を占めたセイラは、ホトトギスに尋ねてみた。
「ホトトギス、このアロエクリームは顔に塗っても大丈夫なの。」


最大最小2 [ネコ騙し数学]

最大最小2


問題1 区間−1≦x≦1で定義された関数

について、次の問いに答えよ。

(1) とおいて、f(x)tの関数として表しなさい。

(2) tの取りうる範囲を求めなさい。

(3) f(x)の最大値、最小値を求めなさい。

【解】

(1) として、両辺を2乗する。

  

よって、

  


(2)
  

極値では、dt/dx=0になるので、

  

x=−1/√2は解として不適。

増減表は

hyou-01.png


graph-221.png

したがって、1≦t≦2+√2


(3)

  

とする。

  


hyou-02.png
よって、f(x)の最大値は1−√2/2、最小値は2√3−4

(解答終わり)

 

問題2 点P(x,y)が円の上を動くとき、

(1) x−y=tとおきtの変化の範囲を調べよ。

(2) 関数

  

の最大値、最小値を求めよ。

【解】

(1) 点P(x,y)は円上の点だから

  

とあらわすことができる。

したがって

  sai-sai-202.png

【別解】

x−y=tだから、y=x+t
(x,y)
は円周上の点だから

  

に代入すると、

  

xは実数だから、2次方程式の判別式をDとすると、

  sai-sai-203.png


【別解2】

graph-222.png

直線x−y=tと原点の距離d

  

直線x−y=tと円は共有点を持たないといけないので、

 


などなど、(1)については、色々な方法でtの範囲を求めることができる。

(2)

  sai-sai-204.png

よって、

  

で、

  

とおき、tで微分すると
  

極値をとるところではg'(t)=0だから

  

を解くと、

  

−√2/2≦t≦√2/2だから

  

したがって、増減表は

hyou-03.png

graph-223.png

(解答終了)



問題3 a0<a<1なる実数とする。放物線

  

に点(0,1)から2本の接線をひき、その接線とx軸との交点をそれぞれQRとするとき、△PQRの面積が最小となるように、aの値を定めよ。

【解】

graph-224.png

接点のx座標をαとすると、接線の方程式は

  

これが点(0,1)を通るので、
  sai-sai-207.png

よって、接線の方程式は

  

QRx座標をそれぞれq,rとする。

QRは、上記の接線とx軸、つまり、y=0との交点だから、y=0を代入すると、

  sai-sai-208.png

よって、△PQRの面積S

  

ここで、t=√aとおくと

  

となる。

Sが最小のとき、分母が最大になるので

  

とおき、g(t)の増減を調べる。

  

0<t<1だから、g(t)t=1/√3のとき、極大かつ最大になる。

t=√a=1/√3だからa=1/3のとき、Sは最小になる。

【解答終了】


タグ:微分積分

ぬか漬け 1章の終わり [ぬか漬け]

 ホトトギスは、超ハイテク算盤とのプロトコルに従い、算盤玉で表現されている内容を読み取った。
「なるほど、なるほど。そうかもしれない。だが、それは机上の理論だろう。糠床の動きをシミュレーションしただけだろう。そして、理論通りにゆかないのが現実だ。本当に薩摩芋は糠漬けになるのだろうな。」
 自分のシミュレーション結果を貶され、超ハイテク算盤は、算盤玉を激しく打ち鳴らし不快感を表明した。それだけでは怒りがおさまらないらしく、今度は人間の言葉で反論を開始した。
「科学を知らない愚かなお前が如何にも言いそうなことだ。おおかた、複雑な化学変化が糠床内で起きているので、コンピュータのシミュレーションに適していない、と思ったのだろう。しかし、それは科学を知らない素人の思い違いだ。化学反応は所詮分子レベルの現象に過ぎず、超スーパーコンピュータと言える圧倒的な演算速度と記憶容量を誇る俺様ならば、モデリングをすることなく、分子の一つ一つの動きを直接計算し、糠床内の化学変化を再現できる。だから、俺の言葉を信じ、薩摩芋の糠漬けを作ってみろ。」
 超ハイテク算盤の能力を良く知るホトトギスは、その話を聞き、ウーンと唸った。
 超ハイテク算盤の言うように、そのシミュレーションが薩摩芋の糠漬けが美味しいという結論に至ったのならば結果は正しいのかもしれない。一瞬、そう考えたものの、糠床内の分子の量はそれこそ天文学的な数字であろう。いくら世界最高速のCPUを有する超ハイテク算盤であろうとも、こうも短時間のうちに分子一つ一つの動きを再現できるものだろうか。尋常ならざる超ハイテク算盤ことだから、あるいは糠床内の全ての分子を追跡できるかもしれない。そう思ったものの、いくら何でもこうも早くシミュレーション結果を出せるものだろうかとも思った。不安に襲われたホトトギスは、自分の計算結果に自信満々の超ハイテク算盤の顔色を窺いながらお伺いを立てた。
「まさか、そのようなことはなさっていないと思いますが、ボルツマン方程式を解き、濃度などの平均量を算出して、シミュレーションを行ったのではないですよね。分子レベルで直接計算をなさったのですよね。」
「俺を誰だと思っている。俺がそんな横着なことをするものか。分子レベルで全ての計算を行っているに決まっているではないか。」
 超ハイテク算盤は如何にも心外そうにそう答えた。超ハイテク算盤のその言葉を信じ、ホトトギスは薩摩芋をポシェットの中に仕舞い込んだ。
「薩摩芋が糠漬けになるのですから、ジャガイモもお漬物になりますよね。」
 ホトトギスは手にしたジャガイモを超ハイテク算盤に差し出し、再びお伺いを立ててみた。
「同じお芋だが、薩摩芋とジャガイモでは澱粉の質が違う。残念だが、ジャガイモは糠漬けに適さない。」
 超ハイテク算盤はきっぱりとした口調でその判定を下すと、ホトトギスの止まっている野菜籠に近付き、中を覗き込んだ。
 何に使うのか、利用目的は不明であったが、籠の中に生姜が入っていた。その清々しい香に魅了され、彼は生姜を取り出し、それをホトトギスに差し出した。
「あまり知られていないけれど、生姜の糠漬けはまたとない珍味なのだ。俺のデータベースにはそう記録されている。したがって、これを漬けると良いだろう。そして、漬け上がった時には、酒でも酌み交わし、ともに賞味しようではないか。」
 確かに生姜の味噌漬は良く知られている。超ハイテク算盤には及ばないが、博識を誇るホトトギスは、生姜の糠漬けが存在するのだろうかと首を傾げた。生姜と糠床。どう考えてもミスマッチのように思えたけれど、超ハイテク算盤が自信満々の様子でそう断言するのだから、古には本当に生姜の糠漬けが存在したのかもしれない。時にミスマッチと思える食べ物の組み合わせが、相乗作用でとんでもなく美味しくなることがあり、積極的に超ハイテク算盤の主張を覆す証拠も、ホトトギスは有していなかった。あるいはそうかもしれない、と自分に言い聞かせ、超ハイテク算盤から生姜を受け取り、ポシェットの中に仕舞い込んだ。
「糠漬けの材料もたくさん入手できたことだし、セイラの所に戻るとするか。俺様がいないことを良いことにし、カイのスケベ野郎が妙なことを考えるといけないからな。」
 ホトトギスはそう呟き、超ハイテク算盤の背に飛び乗った。
「久しぶりに俺とかっ飛ばそうぜ。ともに風になろうじゃないか。」
 その問い掛けに応じ、超ハイテク算盤は凄まじい速度で廊下を疾走し始めた。久し振りに体感するスピードに、ホトトギスは「キャッキャ」と黄色い悲鳴を上げて喜んだ。


最大最小の問題(数学3) [ネコ騙し数学]

最大最小の問題


定理 連続な関数の最大、最小値の定理

閉区間[a,b]で連続な関数f(x)は、必ず、最大値と最小値をもつ。

関数f(x)が最大・最小になる点の候補は、極値をとる点、区間の両端、そして、微分可能でない点など。特に、区間の両端に注意!!


問題1

(1) 1≦x≦3のとき、関数

  sai-sai-siki-00.png

の最大値、最小値を求めよ。
(2) 0<x<πのとき、関数

  

の最小値を求めよ。

【解】

(1)

  sai-sai-siki-01.png

増減表をかくと



x



1





2





3



f'(x)



 



+



0





 



f(x)



1



増加



極大



減少



9/10



x=√2のときに最大値f(√2)=6(3−2√2)

x=3のときに最小値9/10

(2)

  

増減表を書くと



x



0





π/3





π



y'



 





0





 



y



 



減少



極小 √3



増加



 



graph-211.png

x=π/3のとき、最小値√3

(解答終了)

 


問題2 x>0のとき

  

の最小値を求めたい。


(1) とおき、Ptの関数として表しなさい。

(2) その結果を用いてPの最小値ならびにそのときのxの値を求めなさい。

【解】

  

の分母・分子をで割ると
  sai-sai-siki-03.png

で、

  sai-sai-siki-04.png

よって、

  

x>0のとき、相加平均≧相乗平均より

  

したがって、

  


(2)

  

これをtで微分すると、

  

したがって、Pは単調増加。よって、t=2のとき最小で、最小値3/2

  


の解は1だから、

x=1のとき、Pは最小で、最小値は3/2である。

(解答終了)


ちなみに、

  

のグラフは次の通り。

 

graph-212.png

問題3 関数

について、次の問に答えよ。

(1) sinx=tとおいて、ytの式で表せ。
(2) yを最大にするxの値はいくらか。
【解】
(1)

  sai-sai-siki-05.png
だから、

  


(2)

  sai-sai-siki-07.png

増減表を書くと、



x



1





1/2





1



y'



 





0





 



y



-7



増加



極大 13/2



減少



1




graph-213.png

よって、x=1/2のときに、yは最大になる。

  

を解くと

  

(解答終了)

問題2、問題3のように、変数を変換することによって、最大・最小値を求めることが楽になる場合がある。ただし、問題2、3のように変数の範囲、定義域が変化することに注意が必要。


問題4 第1象限の定点P(a,b)を通る直線と両軸の正の部分との交点をABとするとき、△OABの面積の最小値を求めよ。ただし、Oは原点とする。

【解】

graph-214.png

定点P(a,b)をとおる直線の傾きをmm<0)とすると、この直線の方程式は

  

したがって、Ax座標は

  

By座標は

  

よって、△OABの面積S

ここで、

  

とおき、mで微分すると、

  sai-sai-siki-11.png

したがって、f(m)

  

のとき、極大。

したがって、Sはこの時に極小、最小になる(f(m)Sは正負が逆転しているから)。

このとき、x=2ay=2bとなり、最小値は

  

また、このとき、PA(2a,0)B(0,2b)の中点である。

(解答終了)

こう解いたものの、この解答は良くないね。


相似を使って、解くことにする。


【別解】

graph-215.png

ABの座標をそれぞれ(x,0)(0,y)とし、P(a,b)からx軸におろした垂線の足をHとする。△AHP∽△AOBだから
  sai-sai-siki-08.png

したがって、△OABの面積S

  sai-sai-siki-09.png

これをxで微分すると、

  sai-sai-siki-10.png

したがって、x=2aのとき、極大かつ最大になる。

よって、面積の最大値は

  

このとき、y=2bだから、点P(a,b)A(2a,0)B(0,2b)の中点である。

【解答終了】


解答のわかりやすさで雲泥の差があるようだ。

悪い解答例として、問題3の【解】は、そのまま残しておくことにする。

タグ:微分積分

ぬか漬け 1章の続き5 [ぬか漬け]

「干し柿か、懐かしいな。」
 手の中の干し柿を眺めながら、カイがポツリとそう呟くのを耳にし、セイラは視線の先をカイに向けた。
「どうやら、カイ君、干し柿を知っているみたいね。」
「知っているも何も、干し柿は僕の国の特産品の一つだよ。秋から冬にかけて、どの農家も軒下に皮を剥いた柿の蔕を縄で結わえ吊るしているよ。新鮮な野菜と果物の少ない冬の保存食としてね。」
 セイラが「そうなんだ」と頷くのを横目に挟みながら、カイが干し柿をガブリと一口口に含んだ。そんなカイの感慨を台無しにするかのように、カイから分捕ったクッキーを食べ尽くしたホトトギスがその干し柿に食らいついた。
「これは俺の物だ。お前になんかやるものか。」
「カイ君の干し柿から離れなさい。」
 セイラの叱責を敢然と無視し、ホトトギスはしっかりと干し柿を銜え放そうとしなかった。そんなホトトギスの体を握り締め、セイラが引き離そうとした時、干し柿が真ん中ほどから千切れた。セイラに取り返されては大変と考え、ホトトギスは銜えていた干し柿をそのまま丸呑みにした。
「あんた、本当に意地汚いわね。呆れて、何も声をかける気にならないわ。」
「そんなに褒められると、恥ずかしいじゃない。」
 薄っすらと頬を赤らめ、俯き加減に上目遣いで見上げるホトトギスの姿を目にし、セイラは激しい脱力感を憶えた。
「そこで勝手に毛繕いでもしていなさい、あんた。」
 「ハーイ」と能天気に返事し、ホトトギスは、彼女に命じられた通り、セイラに握り締められて乱れた毛の繕いを始めた。それを済ませると、今度は、屋敷の探索へと出ていった。
 王国屈指の貴族の邸宅だけのことはある。さりげなく廊下に置かれている調度や花瓶などもかなりの値打ちものであった。ホトトギスはそれらを一つ一つ丁寧に鑑定し、その鑑定額を帳面に記した。
 夜陰に乗じ屋敷に忍び込み、それらを持ち出そうと考えての行動ではない。その内、何かの役に立つかもしれないと考え、帳面に付けていただけであった。あくまで、ホトトギスの目的は、糠漬けの材料探しであった。ホトトギスは、人目を避けるように台所に忍び込むと、今度は、そこに置かれている食材を一つ一つ手に取り、丁寧に調べ始めた。
「糠漬けの定番と言えば、胡瓜に茄子だよな。しかし、この季節に胡瓜、茄子を手に入れることは難しい。だとすれば、どれが糠漬けに適しているのだろうか。」
 野菜のみならず、痛み易い鯖や鰯と言った青魚も糠床に入れれば、糠漬けになる。魔法のアイテムと糠床をホトトギスは形容したけれど、創意工夫によって、糠床の可能性は限りなく広がる。とは言え、糠漬けに適している材料があるのも、また、確かであった。
「大根は糠漬けにしたらどうなのだろうか。人参の糠漬けは結構美味しいから、同じ根野菜の大根も美味しいような気がするのだけれど、大根は人参と違って水分が多いからな。果たして上手く漬かるのだろうか。」
 ホトトギスは大根を方手に持ちそれを眺めながらそのことについて考え始めた。
「こういう場合には、類推法が役に立つのではなかろうか。」
 考えれば考えるだけ混乱し、ホトトギスは投げやりな気分でそう呟いた。
「鯖の糠漬けは、塩辛くて美味しい。これだけでご飯が何杯も食べられるし、お酒も進む。だとしたら、同じ鯵科である鰤もそうに違いない。そして、鰤の美味しい料理と言えば、鰤大根。であるから、大根は糠漬けになるに違いない。」
 明らかにこじ付けであった。論理的な飛躍が大きく、それは論証に値しなかった。だが、ホトトギスは、そのことをさして気にする様子はなかった。彼は、手にしていた大根をポシェットに仕舞い込むと、今度は薩摩芋を手に取りじっと眺め始めた。
「メロンや西瓜の漬物があることは知っているが、世の中に薩摩芋の漬物が果たしてあるのだろうか。ピクルスにもなりそうもないし、浅漬けにの材料にもなりそうにない。かと言って、粕漬けも無理だよな。糠床がいくら魔法のアイテムだとしても、薩摩芋だけは美味しい漬物になりそうにない。」
「それはお前の思い過ごしだ。薩摩芋も糠漬けになる。」
 ホトトギスの疑問に答える声が何処からか聞こえてきた。「俺様に気配を感じさせず接近するとは、なかなかの手練だ。一体誰だろう」と、ホトトギスは聞き覚えのある声の主の居所を捜し始めた。そんな彼を嘲笑うかのように背後から声がした。
「ここだ、ここ。よもや、俺のことを忘れたと抜かすんじゃないだろうな。」
 声の主は、彼のライバルの一人である超ハイテク算盤であった。散歩の帰り道でホトトギスがブツブツと呟いているのを聞き付け、姿を現したのであった。
「本当だろうな、算盤野郎。」
「もちろん。」
「オレはこれまでにお前に何度も酷い目に会わされたからな、前の話を素直に信じる訳にはいかない。証拠を見せてもらおうではないか。」
 超ハイテク算盤は、自己の理論の正しさを証明するべく、ひっくり返り、それまで車輪替わりに使っていた算盤玉をぱちぱちと弾き始めた。


極値のちょっと難しい問題 [ネコ騙し数学]

極値のちょっと難しい問題


問題1
(1)関数

  

の極大値がb、極小値が1/bのとき、abの値を求めよ。

(2) (1)で得られたaに対する関数y=f(x)のグラフの概形をかけ。

【解】

(1)

  

(ⅰ)a+1>0のとき、x=−1で極大、x=1のとき極小。

  

bを消去すると

  

a+1>0だから、a=1。よって、b=3

(ⅱ) a+1<0のとき、x=−1で極小、x=1のとき極大。

  

bを消去すると

  

よって、不適。

以上のことより、a=1b=3


(2)


graph-220.png

(解答終了)



問題2 関数

  

x=π/4で極大値をとる。

(1) aの値を定めよ。

(2) x>0におけるすべての極大値の和を求めよ。

【解】

(1)

  

x=π/4で極大値を取るので

  kyokumuzu-siki-02.png


(2) 極値をとる点ではf'(x)=0でなければならない。

  

x>0における、sinx=cosxの解は

  

f''(x)を求めると

  

よって、
  kyokumuzu-siki-03.png

したがって、

  

のとき、極大。

  

したがって、極大値は

  

の等比数列。

よって、

  

(解答終わり)


問題3 nを自然数とする。関数

  

について、

(1) の極値および極値を与えるxの値を求めよ。

(2) x≧0のとき、

  

を求めよ。

【解】

(1)

  

を微分すると、
  

したがって、

nが偶数のとき、x=0で極小で極小値は0x=1/nで極大で極大値は

  

nが奇数のとき、x=1/nで極大で極大値は
  


(2) x≧0

  

で、

  

だから、

  

(解答終わり)
タグ:微分積分

いまこそ「オペラの黄金時代」と呼ばれて差し支えないと思うが「いま」があるのはかなりの部分、ロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ROF)のおかげである 毎日 [今日のクラシック]





そうですかい。
ヴェルディやプッチーニ、そして、イタリア・オペラの有名どころは聞いたりしますが、
ネムネコは、
イタリア・オペラが大嫌い!!
です。

オペラの1つの作品を聞くには、2時間〜3時間かかるケロ。
そんな時間と体力を持ち合わせていないにゃ、ネムネコは。
ネコは飽きっぽくて、集中力が持続できないにゃ。
イタリア語だから何を言っているかわからないし、
 ――ソプラノの高音域の歌詞は、ヒトは、言葉として認識できない、言葉として聞き取れないらしいね。つまり、日本語であっても、ソプラノの歌う(高音域の)歌詞は、何を言っているか、わからない!! クラシックのソプラノの歌声は癇に障ってキライという人は意外の多いのではないか。 人間にとって、これは限りなくノイズ、騒音に近いものなのかもしれない(^^ゞ ソプラノは限りなく楽器に近い、に違いない(^^ゞ ――
ネムネコにとって、イタリア・オペラは天敵だケロ。
だから、まず、イタリア・オペラは聞かない。

オペラ中に使われているアリアくらいならば、単品で聞くけれどね。



ちなみに、これはイタリア・オペラではありません。
オペラのアリアの中でも、この曲は最高音が高いことで知られているので取り上げました♪


言葉が明瞭に聞こえることを条件にするならば、声の高さの上限はある程度定まる。これは、言葉を発音するに当たって重要なフォルマントの1つが500 〜 1000Hzの間に現れるため、声の高さ(基本周波数)が500Hzを超えると母音(特にoの母音)が不明瞭になり始めるから。500Hzというのはピアノの鍵盤でいうと、中央のド(C4)から数えて11番目のB4の辺りである。このB4は、女声のパートの1つアルトでも使用されることのある程度の音高だ。したがって、それよりも高い音を出すことがしばしばあるソプラノでは、より言葉が不明瞭になってしまうことを意味する。なお、古いベルカントの訓練法には純粋な母音を出すための訓練があるが、C5より上の音では行わないのが原則とされる。さらに、1000Hz近くまで達すると、もう全く、母音を表すことは不可能となる。

https://goo.gl/SXPlv0

タグ:クラシック
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ワンポイントゼミ16 平均値の定理を利用して・・・ [ネコ騙し数学]

ワンポイントゼミ16 平均値の定理を利用して・・・


この問題、解けますか?


問題

(1) 平均値の定理を用いて次の不等式を証明せよ。

  

(2) (1)の不等式を用いて、次の極限値を求めよ。

  


この問題の(1)は、対数の次の性質

  

を使うと、

  

になるので、f(t)=logtとし、[x,x+1]においてf(t)に平均値の定理を使えば

  

となるcが少なくとも一つ存在する。

  

だから、

  

x<c<x+1だから

  

となり、

  

になる。

よって、(1)は証明された。



問題は(2)!!


  

とおき、これの対数をとる。

  

(1)より

  

k<nだから

  

①と②より

  

だから、

  

n→∞の極限をとると

  

よって、

  

(2)の答えは

  


いい問題だとは思うけれど、大学受験の試験会場で、高校生がこんな問題を解けるものだろうか!!


ちなみに、

  


タグ:微分積分

ぬか漬け 1章続き4 [ぬか漬け]

 宿命のライバル、カイの部屋に入ると、ホトトギスはセイラの右肩を離れ、椅子に座ってこちらの方を見ているカイの頭の上に舞い降りた。
「小僧、お茶とお菓子だ。さっさと出しやがれ。」
「他人(ひと)の部屋に突然やって来て、なんだ、その横柄な口の利き方。」
 二人のその言葉を皮切りに二人は何時もの様に激しい罵り合いを始めた。セイラは、呆れた様子で二人の口喧嘩を眺めていたが、やがて口論に熱が帯び始めると、取っ組み合いの喧嘩になるかもしれない、と考え、ホトトギスに声をかけた。
「ホトトギス、あの壷は随分と珍しいわね。」
 目に物見せてやるとばかりに、体を後方に大きく仰け反らせ、カイのかわいらしい額に嘴の一撃を放とうとしていたホトトギスは、その姿勢のまま、セイラの指差している壷に目を向けた。
 素焼きの壷の上に釉薬が面白いように溶けていた。何処か見覚えのある壷なのだが、その壷が何焼きなのか、作者が誰であるのか、さしものホトトギスも特定できなかった。「随分と面白い壷だね」と言って、壷に飛び寄ると、何度かその周囲を巡った後、壷の口に飛び乗り、頭を中に入れて、内部を調べ始めた。焼き物には珍しく、動物の毛が焼き物の土に織り交ぜてあることを発見し、ホトトギスはますます首を横に傾げた。
 初期の縄文土器は、素焼きの壷の強度を増すために動物の毛を織り交ぜていたな。しかし、それ以後の土器から動物の毛が発見されることはない筈だ。歴史に反するオーパーツであるのだろうか。それにしても、珍しい。
 更なる好奇心に駆られ、ホトトギスは壷の中に降り、中の様子を更に入念に調べ始めた。土に織り交ぜられている動物の毛がムジナの物であることを発見したホトトギスは、大きな驚きの声を上げた。
「ムジナの毛を壷の土に混ぜ込んで焼いてある。いやあ、いい目の保養になった。さぞ有名な陶工の作に違いない。」
 そう言った後、ホトトギスがひょこりと顔だけ現すと、カイが如何にも馬鹿にした様子でちらりと彼を見遣った。
「それは、幸福の壷だ、と言って、お前が僕に売り付けた壷だろうが。よくそんな白々しいことが言えるものだ。」
 見覚えがあるのも道理であった。焼き物に適さない王都の土に強度を持たせるために、嫌がるムジナから毛を毟り取り、それを混ぜ込み、神殿近くの空き地で隔週の日曜日に開かれる陶芸教室でホトトギスが焼き上げた壷であった。予想外の出来上がりに喜び、それを携えカイの所にやって来て、「幸福の壷」と称し、恐喝紛いに売り付けた壷であった。そして、その代金とそれまでの貯金で干し柿を取り寄せたのであった。そのこと思い出したホトトギスは、セイラがどのような反応をしているのだろうと、恐る恐る視線を向けてみた。ホトトギスを更正させることを既に諦めているのであろうか、セイラは、大きな溜め息を一つ吐いただけでそれ以上の反応を示さなかった。これなら大丈夫、と判断し、二人の下にパタパタと飛んで行った。
 テーブルの上に舞い降りると、「どのようなお客であろうとも、お客様がきたら、お茶とお茶菓子を出すのが礼儀と言うものではなかろうか。そうした一般常識さえ欠如しているのだから、お子様は困る」と嘆いてみせた後、ホトトギスは鋭い眼光でカイを睨み付け、「痛い目に会いたくなければ、お茶とお茶菓子を貰おうではないか。さっさとしないと、お前の命の保証はできないぞ」と恫喝した。
「何処までカイ君に迷惑をかければ気が済むのよ、あんたは。」
 セイラはそう言うや否や彼の頭に容赦のない鉄拳の雨あられを振り下ろした。ホトトギスは、両方の翼で頭を抑えながら、目に浮かんだ涙で無言の抗議をした。セイラが「何よ、文句あるの」と叱責すると、ホトトギスは悲鳴を上げてテーブルの上を駆け回った。そんな彼に構わう様子を見せることなく、セイラがカイと会話を始めると、ホトトギスは頬を大きく膨らませてふて腐れた。「そうだ」と大声を上げると、セイラが会との会話に熱中していることを良いことにカイの部屋の物色を始めた。
 勝手知ったる他人の家。何処に何があるか、部屋の主であるカイよりホトトギスは知悉していた。彼の目を欺こうと箪笥の奥に仕舞い込んである飴玉の袋を発見したのを皮切りに、ホトトギスは次々とカイの秘蔵の品を探し出し、それをせっせとポシェットの中に仕舞い込んだ。彼がその作業終えたのとほぼ同時に、部屋にお茶とお菓子が届けられた。ホトトギスは、何事もなかったようにテーブルの上に戻ると、ボリボリとお菓子を食べ始めた。
 最近彼の食事情は幾らか好転していたけれど、神殿の供物である南瓜や大根を夜中にこっそり盗み食いし、飢えを凌いでいる状況に変わりなかった。久しぶりに見たバターがよく効いた自分の分のクッキーを瞬く間に食べ尽くすと、喉の渇きをお茶で潤す振りをして、虎視耽々とカイのクッキーを奪い取るチャンスを窺い始めた。彼のその気配を察し、セイラが「ねえ、ホトトギス。干し柿、まだある」と尋ねてきた。
 干し柿をどうする心算なのだろうか。怪訝そうな表情を浮かべるホトトギスに「たまにはカイ君に何か上げたらどう」と小声で言った。
 セイラのそれは、人に物を勧めるような軟らかな口調であったが、ホトトギスにとっては強制に等しい内容であった。セイラのこの言葉にどう対処するべきか、ホトトギスは腕組みをしてその得失について検討を始めた。
 最高品質の干し柿と王室御用達の最高級クッキー。どちらも甲乙がつけがたい。しかし、クッキーは、その店でその代金さえ払えば、王都の住民は誰でも食べることができるけれど、干し柿はそうはいかない。干し柿とクッキーでは釣り合いが取れない。これがホトトギスの結論であった。しかし、彼がそれを強く拒んだとしても、最終的にはセイラの命に服し、干し柿をカイに渡さなければならない。それならば、できるだけ干し柿の値を吊り上げようと考え、ホトトギスは、セイラとの交渉に入った。
「セイラがどうしてもこの干し柿をカイに遣れと言うのならば遣らないことはないけれど、ただと言うわけにはいかないよ。何しろ、この干し柿は舶来品で輸送費が結構かかっているんだから。」
「それで、何が望みなの、あんたは。」
 忌々しげにセイラが声を荒げると、ホトトギスは嘴を二度三度右の羽根で叩いてみせた。
「嘴を叩いて欲しいという意味ね。分かったわ。」
「違うでしょう、セイラ。惚けないでよ。」
 ホトトギスは大声を上げた後、目を閉じ、嘴を窄めて、セイラにキスをするように迫った。
 セイラは、そんな彼に構うことなく、「何、馬鹿な真似をやっているのよ」と叱り付けた後、乱暴に彼の頭を二度三度撫でてやった。
「これで満足でしょう。さあ、カイ君に干し柿を上げなさい。」
 これではあまりに安すぎる。ホトトギスは、頭を激しく揺さ振られ眩暈をさせながら、セイラの顔を見上げた。セイラが拳を振り翳すと、ホトトギスは「ごめんなさい」と土下座し、ポシェットの中から干し柿を一つ取り出し、カイに投げつけた。
「本当ならば、お前のようなお子様が食べられるような代物ではないが、セイラがお願いするから仕方なくお前にやる。大切に食べやがれ。それから、これは頂くからな。」
 投げつけた干し柿をカイがキャッチする前にそう言うと、ホトトギスは、カイのクッキーを自分の方に引き寄せ、それをボリボリと食べ始めた。