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セイラ4 1章の続き13 [セイラ4]

 お見舞い

 

「何処に行くのよ。港とは、方向が逆だよ。」

 ホトトギスは、セイラが向かおうとしている先を知っていながら、敢えてセイラにそう尋ねた。

「旅に出たなら、暫くカイ君に逢えなくなるでしょう。お見舞いがてらに、挨拶もしようと思って。それに、船の出るのは夕方でしょう。それまでの間の時間潰しにちょうどいいでしょう。」

 事ある毎に、カイ君、カイ君である。セイラの恋人を自称するホトトギスにとって、愉快なはずがなかった。頬をぷくりと膨らませて、彼女の肩の上でセイラの横顔を見ながら、こう言った。

「いつも、カイ、カイと、ちょっとひどいいんじゃないの。セイラのことをいつも真剣に考えているのは、僕なんだから。それにだよ、年頃の女性、しかも、女性神官が肉親でもない男の部屋に入っていいわけ。そんな端ないことをして恥ずかしい、と思わないの。」

 目に入れて痛くない、かわいい弟分のカイをあしざまに言われて、セイラは即座に反論した。

「私のカイ君に何てひどいことを言うのよ。言い掛かりをつけるのも、いい加減になさい。それによ、男の癖に嫉妬するなんて、それこそ恥ずかしいことじゃないのよ。もっと男らしく振る舞ったら、どうなのよ。」

 ホトトギスは、ぐっと嘴を噛み締めた。その時、鼻腔を擽る香ばしい匂いを微かに嗅ぎ付けた。食欲魔神と形容すべきホトトギスがこれを見逃すはずなかった。人間に比して遥かに嗅覚に敏感な彼は、くんくんとその匂いの発生源を探り始めた。

「あんた、一体、何をやっているのよ。また、何か悪いことを企んでいるのでしょう。」

 俄かに大人しくなったホトトギスを訝り、セイラがそう尋ねてきた。ホトトギスは、くんくんと匂いだけはなおも嗅ぎながら、セイラにその理由を告げた。

「この匂いは、焼きソーセージだね。しかも、随分といい豚肉を使っている。これを見逃す手はないよ、セイラ。カイのお見舞いの品にもなるし、寄っていこうよ。」

「そんなこと言って、どうせあんたが食べたいだけでしょう。いくら騒いでも無駄よ。お見舞いの品はもう決まっているんだから。それに、焼きソーセージをお見舞いの品に持って行くなんて話、聞いたことがないわ。」

「そんなことないよ。それに第一、セイラは果物やお花を持っていくつもりなんでしょう。それと同じものをみんなが持っていっているんだよ。そんな物を今さら貰っても、カイはきっと喜ばないと思うな。僕ならば、違ったものを食べたい、と考えるよ。だから、カイもきっとそう思っているんじゃないかな。」

 ホトトギスの言うことはもっともであった。確かに、大勢の人から果物や花さらにお菓子を見舞いの品として受け取り、それを彼の寝台の横に山のように積み上げられていた。お見舞いの品でだから、同じ物があるからと言って、それをを返すことも受け取りを拒否することも出来ないし、かといって、捨てるわけにも行かない。そして、その処分に困っているというのが実状であった。セイラは、そのことを思い出した。しかし、ホトトギスにそのことを指摘されたのが我慢できない様子で、「カイ君でもないあんたが、どうして、カイ君の気持ちを分かるのよ」と管を巻き始めた。

 セイラの凄い剣幕に怯むことなく、ホトトギスは平然と答えた。

「何だかんだ言っても、僕とカイは仲間じゃない。それで、実は、昨日の晩、カイのところにお見舞いに行ったんだ。もちろん、僕はお見舞いの品を持っていったよ。その時、お見舞いの品の話になったんだ。カイは、こう零してたよ。お見舞いの品を持ってきてくれるのはあり難いんだけど、同じ物ばかりで、処分に困るって。僕の持っていってお見舞いは焼きソーセージだったから、病人食に厭きているカイは、何度も『美味しい、美味し』と言って貪るように食べたんだ。そして、カイは『見舞いの品は焼きソーセージに限る』とも言っていた。それどころか、『今度来る時にも、焼きソーセージを持って来い』って脅迫紛いに命令する始末だった。だから、焼きソーセージを持っていかないと、きっと僕はカイに焼き鳥にされてしまうよ」

 ホトトギスが何しにカイの下を訪れたのか、その理由は分からなかったが、彼女のお気に入りであるカイがそのようなことを口にすることがないことだけは確かであった。セイラは、胡散臭そうにホトトギスを横目で睨みながら、「カイ君がそんなことを言うわけないでしょう。でも、まあ、いいわ。あんたの言うことにも一理あるから、焼きソーセージを持って行きましょう」と答えた。そして、ホトトギスの指示に従い、焼きソーセージを売っている露店に向かった。

 露店に近づくに従い、次第に香ばしい匂いが強くなり、人間のセイラにも嗅ぎ取れるようになってきた。それと同時に、露店の主の賑やかな声が聞こえてきた。

 有名な店であるのだろうか、それとも、店の主の賑やかな声に引き寄せられたのか、露店には人だかりが出来ていた。セイラは、その最後尾につき、ホトトギスにそっと尋ねた。

「凄い人だかりね。これだと買うのに随分と時間がかかりそうよ。どうする、他の店に行こうか。」

「人が集まるというのは、美味しいという証。ここで買わないで、何処で買うのよ。それはそうとして、折角、人がこれだけ集まっているというのだから、それを見逃す手はない、と思わない。」

 セイラは嫌な予感を憶えた。

「旅には何かとお金が必要だし、お金は、ありすぎても困るものでもない。このビジネスチャンスを活かして、お金を稼がないと」

 そう言い終えると、ホトトギスは、セイラに制止される前に、ひょいと地面に舞い下りた。そして、鶯が縫うという梅の笠を頭に着け、今様を謡いながら、舞を始めた。

 

 鶯の 渡る声にも 涙落つ 春を惜しめど いかがせん

 かたみも今は あだなるに 人もや見ゆと ぬばたまの

 夜の衣を 返しては いとど恋しさ 募りゆく

 春のものとて ながむれば 昔の月も かくなりや

 昔の人の 香をかげば 橘思ふ ホトトギス

 姿見せねば 人知れず 夜鳴きの声こそ むなしけれ

 えやは息吹の さしも草 さしも知らずな あつき思ひを


微分法を用いた相加平均≧相乗平均の証明 [ネコ騙し数学]

微分法を用いた相加平均≧相乗平均の証明

 

問題 次の問に答えよ。

(1) であることを証明せよ。

(2) ならばであることを証明せよ。

(3) ならば

  

であり、等号が成立するのはのときに限ることを示せ。

[解]

(1) とおくと、

  

x<0f'(x)<0x>0f'(x)>0だから、f(x)x=0で極小(最小)である。

したがって、

  

 

(2) とおくと、

  

そして、(1)より

  

よって、

  

等号成立が成立するのは、のとき、すなわち、

 

(3)

  

とおくと、

  

よって、(2)より

  

等号が成立するのは、、すなわち、のときである。

(証明終了)

 

y=e^x_tangent-graph-001.pngf(x)級のとき、 Taylorの定理から

  

となるcxaの間にある。

したがって、f''≧0のとき、つまり、凸関数のとき、

  

である。

  

とおくと、これは点(a,f(a))における接線だから、f(x)のグラフは接線の上側にあることになる。

は凸関数で、問題の(1)の不等式の右辺はx=0における曲線の接線だから、直接的にではないけれど、相加平均≧相乗平均の証明で凸関数の性質を使っていると言えるのかもしれない。

 


セイラ4 1章の続き12 [セイラ4]

「本当、美味しいわね。一体、どうやって作ったのかしら。私にも作れるかしら。」

 セイラは、見た目の厳めしさとは反対に、意外と器用である。神官という特殊な職業のために、大概のことは独りで出来た。炊事や裁縫、掃除に洗濯、何でも一通りはこなすことが出来た。とは言え、料理の味付けに関しては、からっきしであった。もちろん、甘味や塩味などの基本的な味覚は有していたが、それらが複雑に絡み合った料理の味付けをすることは、全く出来なかった。

 ホトトギスは、恐れを知らないセイラの言葉を耳にして、顔を強張らせた。以前、セイラの料理を口にしたことがあったが、それらはとても人の食せる物ではなかった。自称、セイラの恋人のホトトギスは、死をも厭わぬ覚悟で涙を目に浮かべて食べたのであるが、その時のことをまざまざと思い出した。セイラに再び料理をさせてはいけない。ホトトギスは、そう思い、「無理じゃないかな、セイラ。何て言ったて、これは王室専属の料理人が作ったんだよ。セイラが幾ら料理が得意だといったて、無理に決まっているよ」と答えた。

「そうかな、私にも作れると思うんだけど。まあ、いいわ。」

 セイラは、残念そうにそう答えると、再びご馳走を食べ始めた。

 セイラとホトトギスが朝食を終えて暫くしてから、先ほどの女官が二人分のお茶を持って、再び部屋の中に入っていた。宰相が、セイラの肩に止まっているホトトギスが真っ当な生き物でないことに気づいていることは明らかであった。セイラは、その女官が出て行くのを確認してから、お茶を飲んでいるホトトギスに語りかけた。

「やっぱり、あんたの正体はばれているみたいね。でも、どうして、その事についておっしゃらないのかしら。」

「そんなことは、どうでもいいことじゃない。大事なのは、僕とセイラが一緒にいられるかどうかだよ。こうして、一緒にいられるのだから、何の問題もないでしょう。もし何か起こったとしても、僕が身を呈してセイラのことを守って上げるよ。」

 嘴をストローの様に使い、お茶を飲みながら、ホトトギスはそう語りかけた。すっかり見慣れた光景であるが、セイラは、その姿を見て、口元を微かに綻ばせた。そして、ホトトギスにしっかりと頷き、彼にこう言った。

「誰があんたの世話になったりするもんですか。あんたの世話になるくらいなら、カイ君の世話になるわよ。」

 


ランダウの記号を用いた極限の計算法 [ネコ騙し数学]

ランダウの記号を用いた極限の計算法

 

まずは、ランダウの記号(スモール・オー)の定義を示す。

 

  

のとき

  

とあらわす。

 

そして、前回紹介した漸近展開の定理を再掲する。

 

定理 (漸近展開)

f(x)0を含む開区間I級関数であるとき

  

である。

 

指数関数をマクローリン展開すると

  

となるから、

  

である。

したがって

  

同様に、

  

と、ランダウの記号を用いて極限の計算をすることができる。

 

 

問題1 ランダウの記号を用いて次の極限値を求めよ。

【解】

(1) マクローリン展開より

  

したがって

  

 

(2) マクローリン展開より

  

したがって
  

 

(解答終了)

 

 

問題2 マクローリンの定理を利用して、次の極限を求めよ。

【解答】

(1) マクローリンの定理より

  

したがって、

  

よって、

  

 

(2) マクローリンの定理より

  

よって、

  

よって、

(解答終了)


求人倍率 バブル期超え 4月1.48倍、43年ぶり水準 日経 [ネムネコ備忘録]


セイラ4 1章の続き11 [セイラ4]

 依頼

 

「セイラさんにご足労を願ったのは、他でもありません。また、お力を拝借しようと思いまして。」

 宰相は、柔和な表情を浮かべて、そう語りかけると、「実はこの国の沖合いにある島国で、奇妙な事件が次々と起こっているのです。貿易上の要衝の地で、中立地帯なので、表だって調査隊を送るわけにはいきません。そこで、セイラさんに調べていただきたいのです」と単刀直入に用件を告げた。

「仕事の内容は分かりましたが、今回は私一人なのですか。」

 今までの仕事は、セイラの弟分であるカイや魔術師のクロウリーとともに仕事をしていた。セイラがそのことを疑問に思うのは当然であった。

「そのことですが、実は、クロウリーさんには下調べをお願いしておりまして、既にその島に行ってもらっているのです。クロウリーさんに合流して、一緒に調べてください。」

 万事において抜け目のない最小らしい行動であった。とは言え、質問に半分しか答えてもらっておらず、恐る恐る「カイ君にも頼むのですか」と尋ねた。

「カイ君は、怪我をしていますから、今回の仕事の依頼をしていません。クロウリーさんとセイラさんの二人でお願いします。そうそう、これを忘れてはいけない。今日の夕方にその島への船が出ます。この船に乗り遅れると次の船は来週になりますので、この船に乗り遅れないようにしてください。」

 宰相は、お茶を濁すようにそう言うと、逃げるようにその部屋を去っていった。ただ、部屋から去る時に、セイラの肩に止まるホトトギスを一瞥して、「そうそう、朝食はまだなのでしょう。ここで食べて行かれるといいでしょう」と言い残した。

 カイ君は今回いないんだ、と小さな声で呟くセイラに、ホトトギスは心配そうにこう尋ねた。

「セイラ、僕のご飯もあるのかな。」

 大食漢であるホトトギスらしい心配ではあったが、セイラは、太平楽なホトトギスに怒りすら憶えた。

「そんなことは知らないわよ。あんたは鳥だから、きっとないんじゃないの。あったとしても、きっと、虫かなんかよ。」

 ホトトギスは、嘴を大きく開けて、セイラの横顔を見た。

「やだよ、僕。虫なんか、絶対、食べないからね。僕は、ホトトギス一の名門の生まれなんだよ。普通のホトトギスのように、虫を食べたりしないんだから。」

 彼は、そう言うと、テーブルの上に用意されているお菓子の前に舞い下りた。一つ二つ口に入れてから、それを、首から掛けているポシェットに仕舞い始めた。

「何をやっているのよ。一体、それをどういうつもりなのよ。」

 セイラの突き刺すような視線を背中に感じながらも、ホトトギスは一向に手を休めることはなかった。彼は、忙しく一つ一つ丁寧にそれをポシェットに仕舞いながら、首だけ百八十度反転させて、「何って決まっているじゃない。これを仕舞っているんでしょう。船の中で、セイラと一緒にこれを食べるんだよ。もちろん水入らずでだ。幸いなことに、今回の旅には、お邪魔虫のカイもいないしね」と答えた。

 いつものホトトギスならば、我先にとそれを食べるところであったが、憎々しいカイがいないと言うこともあり、比較的まともな返答が返ってきた。セイラは、軽い眩暈を憶えながら、「本当に仕舞ってもいいの。あんたのご飯は、ないのかもしれないのよ」と突き放すように言った。

「いいの、いいの。僕はセイラのご飯を分けてもらうから。もちろん、僕のご飯がなかったら、セイラは分けてくれるんでしょう。」

 嫌よ、という言葉が口先まで出かかったが、セイラはぐっとその言葉を噛み殺した。断ったところで、どうせ分け合うことになるのである。目の前で、物欲しそうに涎を流しながら、ホトトギスが彼女の食べているところをじっと見詰めている視線に耐えられるほど、セイラの神経は図太くも強靭でもなかった。

「分かったわよ、分ければいいのでしょう。」

 ホトトギスがお菓子をすべて仕舞い込み、セイラの肩に戻るのとほぼ同時に、二人分の料理が届けられた。何故、二人分の料理が用意されているのか、セイラは訝しそうにそれを見詰めていた。そして、料理を運んできた女官が立ち去ってから、セイラは、料理の前に降り立ち「歓喜の舞」を待っているホトトギスに尋ねた。

「ひょっとして、あんたが真っ当な鳥じゃないことを、宰相様はご存知なのかしら。」

「かもね。何たって、あの宰相は、カイと同じ国の出身だから、ホトトギスのことを良く知っていても不思議じゃない。でも、今はそんなことの詮索よりも、早くご飯を食べようよ。こんなご馳走は、そうそう食べられものじゃないんだから。」

 ホトトギスは、そう答えると、料理の方に向き直り、両方の翼を胸の前に合わせた。それから、「頂きます」の掛け声とともに、普段からは考えられないほど行儀正しくそれを食べ始めた。

 ホトトギスにとっては、それはどうでも良いことなのかもしれないが、セイラにとっては、どうでも良いことではなかった。彼女は、再びホトトギスにこう尋ねた。

「宰相様は、あんたの正体をご存知の上で、仕事を頼まれたのかしら。」

「かもしれないね。何しろ僕は地上最強のホトトギスだからね。僕さえいれば、セイラに万が一にも危険が及ばない。でも、今は、そんなことは、どうでもいいじゃない。今は、この美味しいご飯を美味しく頂くことこそ重要。早く食べないと、冷めちゃうよ。温かい物は、温かい内に食べないといけない。それが食べる者の作法であり、作った者への礼儀なんだから。さあ、食べようよ。」

 ホトトギスの言葉を聞いている内に、自分の抱いている危惧はどうでも良い様に感じられてきた。

 「それも、そうね。」

 彼女は、呟くようにそう言うと、料理に手をつけた。

 


第15回 ランダウ記号の性質 [ネコ騙し数学]

第15回 ランダウ記号の性質

 

ランダウ記号の定義をあらためて示す。

 

ランダウの記号の定義

関数f(x)g(x)

  

であるとき、

  

で表す。



定理 (漸近展開)

f(x)は、0を含む区間I級とする。このとき、

  

である。

[証明]

マクローリン(テーラー)の定理より、関数fは、任意の点x∈Iで、

  

であるθが存在する。

よって、

  

ここで、

  

とおく。

x→0のときθx→0で、f級だから

  

よって、

  

である。

したがって、

  

(証明終了)

 

 

上の定理から代表的な初等関数の漸近展開が次のように求められる。


  

ここで、

  

である。



ランダウの記号を用いて複雑な極限の計算をするときに必要になるので、ランダウの記号の演算規則を紹介する。

 

定理 (ランダウの記号の演算規則)

【略証】


(証明終了)


 

数値計算などでは、ビッグ・オーOを用いることが多いので、次の定理とその証明を紹介する。

その前に、ランダウ記号のビッグ・オーOの定義を示す。

 

定義(ランダウのビッグ・オーO

関数f(x)g(x)

  15landau-siki-005.png

であるとき、

  15landau-siki-006.png

で表す。

 


セイラ4 1章の続き10 [セイラ4]

 何度も訪れており、誰からも案内を受けることなく、セイラとホトトギスは宰相の部屋に行けるようになっていた。セイラは、いつものように彼女の到着を待っている、すっかり顔見知りになってしまった近衛兵の案内を門の所で丁重に断り、宰相の執務室に向かった。そして、いつものように、執務室の隣にある待合室に入った。しかし、そこには、いつものメンバーがいなかった。セイラは、驚いた様子で、右肩に止まっているホトトギスに尋ねた。

「ねえ、どうして、カイ君とクロウリーさんがいないの。」

 セイラに質問されても、宰相でないホトトギスに答えられるはずがなかった。とは言え、愛しいセイラの質問であり、返事をしないわけにはいかなかった。そこで、ホトトギスは、小首を傾げるような表情をして、暫く考えてから、セイラにこう答えた。

「あの二人はお荷物じゃない。それで人選に漏れたんじゃないかな。」

 地上最強のホトトギスの金看板を有する彼にしてみれば、少し腕の立つ少年剣士のカイやクロウリーなどはお荷物以外の何物でもなかった。もっとも、それを言ったら、セイラはそれ以上のお荷物であったが。

「何、言っているのよ。カイ君やクロウリーさんがお荷物のわけないじゃない。お荷物なのは、いつも面倒事を起こしてばかりいる、あんたの方でしょう。」

「えっ、どうして僕がお荷物なの。」

「あんた以外に誰がお荷物なのよ。」

 そう言ったあとも、セイラはホトトギスに対して酷薄な言葉を吐き続けた。そして、ホトトギスは、すっかり傷心してしまった。

 ホトトギスは、これまでにドラゴンやキメラさらに超合金で出来たゴーレムと対峙して、セイラのために文字通りにそれらの難敵を粉骨砕身してきた。さらに、自らの存在を危うくして、同じく魔族の再上位種に属する風花と戦ったのである。さらに、セイラの身を心配し、美味な「天井歩き亀」を捕獲して、食膳に供したり、森の王者である虎と交渉してセイラの身を包む鹿の皮を分けてもらったことさえあった。それだけではない。戦いの連続で心身ともに疲れたセイラを癒すために、温泉を見つけ出したり、また、荒んだ心を宥めるために名所旧跡へと誘ったりしていた。それほどまでに、セイラのために、身を粉にして尽くしてきた自分をお荷物と言って良いのであろうか。ホトトギスは、悲しかった。思わず、大声を上げて泣き始めた。

「特許許可局、特許許可局。」

 夏の鳥の代表とされる、ホトトギスの哀愁を帯びた物悲しい声が朝の喧燥に包まれる王宮内に響き渡った。

「煩いわね。黙りなさいよ。」

 セイラの制止を無視して、ホトトギスは鳴き続けた。

「いやあ、珍しい。久し振りにホトトギスの声を聞いたよ。やはり、何度聞いてもホトトギスの声は素晴らしい。」

 心底感動した様子でそう言って、宰相が突然部屋に入ってきた。そして、セイラの肩に止まるホトトギスを懐かしそうにじっと見詰めながら、「それはそうとして、座ったらどうですか。立ち話もなんですから」と一国の宰相とは思えないほど低姿勢でセイラに座るように勧めた。

 


今日のアニソン、「憑物語」から『オレンジミント』 [今日のアニソン・アーカイブ]

今日のアニソンは、「憑物語」から『オレンジミント』です。


さらに、「偽物語」からこの曲を。



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問題とその答え [ネコ騙し数学]

 

問題 次の関数f(x)について下の問に答えなさい。

  

(1) 次の極限を求めなさい。

  

極限を求める際にロピタルの定理を使ってよいものとする。

 

ロピタルの定理
関数f(x)g(x)は開区間(a,b)で微分可能な関数とする。

g'(x)≠0のとき、が存在すれば、も存在し、

  

である。

 

(2) この関数はx=0で右側微分可能でしょうか。つまり、次の右極限

  

が存在するでしょうか。存在するならば、その値は。

 

(3) 閉区間[0,a]a>0)で積分可能ですか。

積分可能ならば、

  

を求めてください。

 

[解]

(1) ロピタルの定理より

  

 

(2)

  

だから、

  

したがって、x≠0のとき

  

だから、

  

は存在しない。

 

(3) f(x)は閉区間[0,a]a>0)で連続。したがって、f(x)[0,a]で積分可能。

  

x=0における(右側)微分係数は

  

x>0のとき

  

したがって、x≧0

  

が成立する。

よって、

  

 

Mondai-graph-001.png

(y=xlogxのグラフは❍(原点)を含まない。)

[解答終]

 

x>0のとき

  


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