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セイラ4 第1章 発端 [セイラ4]

 一章 発端

 

 帰還

 

 王都に戻ったセイラは、ホトトギスとの死闘で傷ついたカイに献身的な看病を行った。その看病の甲斐もあり、王都に戻ってから一月ほど経過すると、カイの火傷の痕が残ることなく、きれいに完治した。

 いつもならば、セイラとカイが仲良くすることを快く思わないホトトギスが、二人の邪魔をするべく、

「セイラ、カイは年頃の少年なんだよ。そんなに優しくしたら、変な風に勘違いするじゃない。何か間違いでも起きたらどうするのよ。成人女性として、少し配慮が足りなすぎるんじゃない。もう少し慎みを持ってよ」と窘めたり、「この野郎、俺のセイラに近づくな。これでも食らいやがれ」と嘴による手痛い制裁をカイのかわいらしい額に加えるところであった。しかし、そのホトトギスも風花との死闘で手酷い気傷を受け、彼の本来の住処である魔界に戻って療養をしていた。そのために、ホトトギスの狡猾な悪巧みに悩まされることなく、セイラはカイの大けがを心行くまで看病することが出来た。

 成長期の少年とこともあり、カイの回復は彼女の予想以上に早かった。けれども、十分に手加減されていたとはえ、ホトトギスの魔法の気弾の直撃を受けたのである。その衝撃と衝突した熱で、カイはひどい打撲と火傷を負っていた。カイの体の至る所は、紫色に変色し、目を覆うばかりの凄惨な火傷が残っていた。

 ホトトギスとしては、セイラの恋敵であるカイがけがを負おうが死んでしまおうが、どうでも良いことであった。むしろ、セイラとの種を超えた恋愛を成就する上において、カイは邪魔になることはあっても、益するところはまったくなく、そのため、あのまま死んでくれた方が都合良かったほどである、しかし、カイはセイラのお気に入りであり、死ぬことはもちろんのこと、痕が体に残るようなことになったなら、ホトトギスはセイラから如何なる折檻を受けるか予想がつかなかった。不死身のホトトギスとは言え、やはり痛みは感じるのだ。あまり痛いのは困る。カイはセイラにとって目に入れても痛くないほどの可愛い弟分であり、縫い包みのようにカイの体に万が一にも傷が一つでも残るようなことになったら、地獄の責め苦もかくまでひどくないであろうという筆舌に尽くしがたい膀胱を受けるのは必定だった。それでも、怒りに任せた、殴る蹴るといった一時的な肉体的暴力ならば甘んじて受けたであろうが、今後一切口をきいてもらえないということにでもなったら一大事である。それ故に、ホトトギスの攻撃は、カイの体を文字通り一毛でも損じないように、十分に手加減されたものであった。

 しかし、ホトトギスはホトトギスであった。毎日のように繰り広げているカイとの喧嘩から、どの程度の攻撃を加えたら、カイの体に傷を残さないかを正確に把握していた。偽りとはいえ、セイラと結婚式を挙げ、短い期間ではあったが、セイラとの蜜月を送っていた。しかし、人間の心は移ろいやすく、セイラがいつ自分からカイに乗り換えるか、ホトトギスは不安でならなかった。そのようなことはないものと思うものの、心配でならなかった。何しろ魔界一の美女と噂される風花をそのかわいらしさで虜にしたのがカイである。そして、ホトトギスとは異なり、カイはれっきとした人間であった。今のところセイラにはそのような兆候は認められないが、これから性的な魅力が増し、また、肉体的にも精神的にも成長するカイに、一時の好奇心に駆られて、セイラが間違いを起こすことがあるかもしれない。また、看病を通じて、二人が急速に接近することも考えられた。油断は禁物であった。セイラがカイに今以上の好意を抱くのは仕方がないとしても、カイがセイラに懸想するということを企てないように、ホトトギスはカイに釘を刺す必要があった。また、ホトトギスとカイの間には、これまで様々な確執があった。それ故に、ホトトギスは、許容範囲内で最大限の気弾を繰り出したのだ。人間界に長期滞在したことと、風花との死闘で重傷を負ったために、ホトトギスの意図した以上に威力は減じていたが、それでも、カイは酷い火傷と打撲を負う羽目に合わされ、は一週間ほど意識を失う羽目になってしまっていた。

 ホトトギスは、セイラ達一行を王都に瞬間移動で送り届けると、人事不省のカイを横目に挟みながら、「ざまあ見やがれ。これで、俺のセイラに手出しできないであろう」と意気揚々に魔界に戻っていったのであった。

 しかし、ホトトギスの意図した通りに事態は進展しなかった。

 セイラには弟がいなかったが、セイラは、実の弟のように、いや、それ以上にカイをかわいがっていた。その彼女が、かつてホトトギスが彼女にしたように、寝る間さえ惜しんで、献身的に意識を失っているカイの看護を行った。意識を失っているカイのために、何ら憚ることなく、食物を、飲み物を口移しで与え続けていたのだ。ホトトギスがその場にいたなら、即座に、両方の翼を広げて、彼女の前に立ちはだかり、「そんな端ないことをしたら、お嫁に行けなくなるでしょう」と猛烈に抗議したであろう。そして、セイラからそれをひったくり、ホトトギスが嘴でカイに口移ししたことであろう。自業自得は言え、怪我の治療のために魔界に帰っているホトトギスは、それを阻止することが出来なかった。彼は、魔界で、その様子を切歯扼腕しながら眺める以外なかったのだ。

 


導関数の性質 [ネコ騙し数学]

導関数の性質

 

導関数の定義

区間Iで定義された関数f(x)Iのすべての点で微分可能であるとき、f(x)Iで微分可能であるといい、

f(x)導関数という。

 

定理 (和・積・商の導関数)

関数f(x)g(x)を区間Iで微分可能ならば、λf(x)+μg(x)λμは実数)、f(x)g(x)Iで微分可能で

g(x)≠0のとき、f(x)/g(x)Iで微分可能で

[証明]

(1) h≠0のとき

  

 

(2) h≠0のとき、仮定よりg(x)Iで微分可能だからIで連続()なので、

  

 

(3) h≠0g(x)≠0のとき、

  

上の結果と(3)より

  

(証明終)

 

定理 (合成関数の微分)

関数y=f(x)は区間Iで微分可能、z=g(y)は区間Jf(I)⊂J)とする。このとき、合成関数J上で微分可能であり、

  

すなわち

  

[証明]

示すべきことは、F(x)=g(f(x))とおき、すべての点a∈I

  

b=f(a)a∈I)とおき、y∈J上の関数φ(y)

  

と定めると、g(y)J上で微分可能だからJ上で連続である。同様にf(x)I上で連続だから、φ(f(x))I上で連続で、

  

である。

φ(y)の定義より、点bの近傍で

  

だから、y=f(x)とおくと、

  

よって、

  

したがって、

  

(証明終)

 

x≠aのとき、f(x)=f(a)、つまり、f(x)–f(a)=0になる場合があるので、 一般に

  dkr-siki-006.png

と変形することはできない。

したがって、x≠aのとき

  

といった証明は許されない。

例えば、

  

g(y)=yy∈R)としたとき、点a>0の場合を考えよ。このとき、点aの近傍ではf(x)=f(a)=0である。

aの近傍でf(x)≠f(a)であるならば、y=f(x)b=f(a)とおくと、x→aのとき、y→bg(y)→g(b)となり、

  

したがって、

  

といった証明が許される。

 

 

定理 (逆関数の導関数)

関数y=f(x)は区間Iで狭義単調であるとする。f(x)Iで微分可能でつねにf'(x)≠0ならばf(I)で微分可能で

  

つまり、

  

である。

[証明]

f(x)I上で狭義単調だから、x≠ax,a∈I)⇔f(x)≠f(a)f(x)f(a)∈f(I))。

y=f(x)b=f(a)とおくと、x≠a⇔f(x)≠f(b)だから

  dkr-siki-010.png

また、y→bのときx→aだから、

  dkr-siki-011.png

よって、f⁻¹(y)y=bで微分可能である。

(証明終)

 

定理 (媒介変数・パラメータで表された関数の導関数)

x=f(t)y=g(t)は区間Iで微分可能でf'(t)≠0とする。x=f(t)に逆関数が存在すれば、

  

である。


[証明]

仮定より、x=f(t)には、逆関数t=f⁻¹(x)が存在して微分可能。したがって、となり、

合成関数と逆関数の微分より

  dkr-siki-012.png

(証明終)

分数同士のの掛け算のように

  dkr-siki-013.png

と考えるとわかりやすい。