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今日のアニソン・アーカイブ、「わたもて」から『どう考えても私は悪くない』 [今日のアニソン・アーカイブ]

今日のアニソン・アーカイブは、アニメ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」から『どう考えても私は悪くない』です。


ネムネコには、「ネムネコは絶対に間違いない」というネムネコ無謬神話があるにゃ。したがって、ネムネコがなにか間違いを犯すことがあるとすれば、ネムネコに非があるのではなく、例えば、このSo-netブログに問題があるケロ。ネムネコは絶対に悪くないニャ。

さらに、歌詞違いの次の曲も埋め込んでおくにゃ。



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セイラ4 2章の続き25 [セイラ4]

 いかにも不器用そうに見えるが、セイラは、裁縫が上手であった。旅で綻びた自分の衣装やカイの衣装をその裁縫セットで修繕していた。しかし、縫合用の針と裁縫用の針では大きさも違えば形状も異なる。さらに、セイラの持っている糸は木綿糸であるのに対して、縫合用のそれは絹糸である。太さが大きく異なっていた。

 ホトトギスは、セイラは冗談を言っているのだろうと思ったが、セイラには、そのような洒落っ気はなく、また、冗談を言う質でもなく、さらに、セイラの真面目な表情が、そうでないことを何よりも雄弁に物語っていた。彼は、セイラに底知れない恐れを感じ、恐怖のあまり大声を上げた。

「セイラの持っているの、木綿糸じゃない。縫合用の糸は、細い絹糸でしょう。そんな太い糸で縫ったら、返って傷が悪くなるし、雑菌が縫った痕に侵入して、化膿してしまうじゃない。」

 セイラは、何ら悪びれることなく、「あら、そうだったかしら」と言うと、裁縫セットから木綿糸を取り出した。

 殺されるかもしれない。ホトトギスは、戦慄し、消え入りそうな声で「まさか、それで縫うつもりじゃないよね」と尋ねた。

「男でしょう。がたがた言っていないで覚悟を決めなさい。」

 やはり、そうだ。セイラは僕の頭を縫うつもりだ。動揺を露にしながら、ホトトギスは、セイラが木綿針を、テーブルの上にある燭台の蝋燭の炎の中に入れ、それを赤らめるのを戦々恐々と眺めていた。

 ああやって消毒しているに違いない。やはり、セイラは僕の頭を縫うんだ。どうやって、あのまっすぐな針で縫合するのだろう。それにしたって、消毒のために、針をあんなに赤らめる必要はないじゃないか。あれじゃ針が鈍って、二度と使えなくなるんじゃないかな。いや、そんなことはないだろう。あの真っ赤な針で僕の頭を縫うんだから、吹き出した血で焼きが入るに違いない。あの輝きぐらいからして、マルテンサイト変態点を優に超しているに違いない。きっと、丈夫な鋼になるに違いない。そうだ、縫い終わったあの針を貰って、僕専用の剣にしよう。俺は何を考えているんだ。そうこうしている内に、あの赤く輝く針が僕の方に近づいてきているではないか。でも何かが変だ。何で糸をつけていないんだろう。あれじゃ、僕の頭を縫えないじゃないか。

「セイラ、針が付いてないよ。それじゃ、僕の頭を縫合できないでしょう。」

 セイラは、「これでいいのよ」と言うと、ホトトギスをうつ伏せにひっくり返し、その体をテーブルに押しつけた。そして、眩いばかりの光を放つ針をホトトギスのたんこぶに押し付けた。

 ホトトギスの「ぎゃー」という悲鳴と、羽の焼けるいやな匂い、そして、肉の焼ける香ばしい匂いが同時に上がった。ホトトギスは、テーブルの上で、ひくひくと体を痙攣させ、一瞬、意識を失った。

「姉ちゃん、ホトトギスがどんな悪戯をしたのか知らないけれど、幾らなんでも、それは遣り過ぎだよ。」

 入浴を済ましたカイは、悪魔の召喚儀式のような凄惨な現場を見て、セイラに抗議した。その大声で意識を取り戻したホトトギスは、後頭部に右の翼を恐る恐る伸ばしてみた。あたかも剥げたように、たんこぶの周りの羽がなくなっていた。毛並みの良い自慢の羽を失い、ホトトギスは立ったまま気を失った。

「カイ君、誤解よ、誤解。私は、焼けた針をホトトギスの後頭部に押し付け、止血をしただけなんだから。」

 止血をするにしても、程度というものがある。あれほど赤らめて、患部を焼いて止血するということが考えられるであろうか。牛や馬に焼き印を押すならばともかく、拷問と考える方が自然であった、それに、カイは、ホトトギスの悪戯に激怒したセイラがホトトギスを折檻している光景を毎日のように見ていた。とてもセイラの話を信じる気持ちにならなかった。カイは、非難するような目をして、セイラを見た。

 言葉でこそ言わなかったが、カイが彼女を疑っていることは、その表情を見れば、即座に理解できた。セイラは、濡れ衣を晴らすべく、立ったまま気を失っているホトトギスを怒鳴りつけた。

「いつまで気絶のふりをしているの、これじゃ〜、私が疑われるんじゃない。さっさと起き上がって、この経緯をにカイ君に話しなさい。」

「詰まらないな、も〜。セイラが驚いて、ホトトギス、どうしたの、と言ってくれるのを待っていたのに。これじゃ、僕の名演技が全く無駄になっちゃうじゃない。」

 ホトトギスは、セイラにそう言ってから、これまでのいきさつをカイに話し始めた。

「やい、小僧、よくく俺様の話を聞くんだ。俺が『セイラのことを誰よりも愛しているよ』と言ったら、セイラが、『私もよ』と言ったんだ。そして、セイラが微かに頬を赤らめて、『私からあなたに贈り物があるのよ。受け取ってくれるかしら』と言ったんだ。もちろんと俺が答えると、『なら、目を閉じて、ホトトギス』と言うから、俺は目を閉じた。そうしたら、突然、セイラが俺の体をテーブルに押しつけて、『最初はちょっと痛いかもしれないけど、すぐに気持ち良くなるわ』と言って、熱い熱いお灸をしてくれたんだ。これが事件の真相だ。羨ましいだろう、カイ。」

 カイは、急に馬鹿らしくなり、「それじゃ僕は寝るよ」と言って、寝台に潜り込んだ。一方、ホトトギスは、セイラの嫌疑が晴れたことを喜び、満面の笑顔を浮かべて、セイラに話しかけた。

「疑いが解けて良かったね、セイラ。」

 彼は、疑いが解けた、と言ったが、カイはセイラとホトトギスに呆れて口を利くにさえ失った、と言う方が真相に近かった。決して、セイラがホトトギスに暴行を加えなかった、と思ったわけではなかった。

「変なこと言わないでよ。」

 セイラは、ホトトギスの後頭部を思い切り叩くと、彼女もまた寝台に潜り込んだ。ホトトギスは、焼けこげた後頭部を抑えながら、セイラのその姿を見ていた。

 


表計算ソフトで1次元調和振動子を解くためのスプレッドシート [ネコ騙し数学]

表計算ソフトで1次元調和振動子を解くためのスプレッドシート

1次精度のオイラー法を用いた解法のスプレッドシート(閲覧用)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1X8VHH3I08SrWk7EK86SCBOUh3erGy6xJ2fLUvq4G_CQ/pubhtml

スプレッドシートのダウンロード(ここ↓をクリックするとPCにダウンロードされるので注意!!
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1X8VHH3I08SrWk7EK86SCBOUh3erGy6xJ2fLUvq4G_CQ/pub?output=ods


シンプレクティック法を用いた解法のスプレッドシート(閲覧用)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1JDmMdnqOV5peAmmOVgFGZjtWwTu6aoSmiMocmmM9oFM/pubhtml

スプレッドシートのダウンロード(ここ↓をクリックするとPCにダウンロードされるので注意!!
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1JDmMdnqOV5peAmmOVgFGZjtWwTu6aoSmiMocmmM9oFM/pub?output=ods


閲覧用をクリックすると、例えば、次のようなものが表示されるにゃ。

Euler-image.png



マクロを一切使っていないのでコンピュータウイルスに感染することはないけれど、
ネムネコがオレのPCに勝手にスプレッドシートをダウンロードした
と文句をつけられるのは嫌なので、スプレッドシートのダウンロードには注意するにゃ。
クリックするとダウンロードのフォルダーにods形式のスプレッドシートがダウンロードされるケロ。これをダウンロードすると、どのように計算しているかが分かると思うにゃ。



オイラー法とシンプレクティック法を用いた1次元調和振動子の解法 [ネコ騙し数学]

オイラー法とシンプレクティック法を用いた1次元調和振動子の解法

 

1次元調和振動子のハミルトニアン(力学的なエネルギー)は

  

である。

ここで、

  

であり、qはバネの自然長からの変位、pは運動量、(1)式のp²/2は運動エネルギー、q²/2はバネの位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)に相当する。

 

(2)式は、

  

と書き換えることが可能で、(2)式とバネの単振動に関するニュートンの運動方程式と同一のものである。

時刻t=0における初期条件を(q,p)=(1,0)とすれば、(2)、(3)式の解は

  

である。

 

1次精度のオイラー法を用いて解くには、

  

つまり、

  

と近似し、これを逐次繰り返して計算すればよい。

 

たとえば、t=0のとき、(q,p)=(1,0)であれば、Δt=0.1とすれば、

  

この計算結果をもとに、

  

といった具合に計算できる。

 

この計算は非常にシンプルな繰り返し計算だから、プログラムを作らずとも、表計算ソフトで簡単に計算が可能で、以下にt=0における初期条件を(q,p)=(1,0)としたものの計算結果を示す。




Euler-hyou-graph.png
 

このように非常に粗い近似に基づく計算でありながら、比較的によく計算できていることがわかるだろう。時間の経過とともにqpの厳密解と1次精度のオイラー法を用いた数値解との食い違いが大きくなるのは、近似計算を繰り返すたびに誤差が伝播し、蓄積するため。このため、オイラー法の誤差は雪だるま式に増加し、計算はやがて発散する。

次に、オイラー法を用い、Δt=0.1とし、t=10まで数値計算結果を(q,p)のグラフとして表したものを以下に示す。


Euler1st.png
 

解いた問題は、力学的エネルギー、つまり、ハミルトニアンHが一定であり、

  

(q,p)は単位円上に存在しなければならないのだが、時間の経過とともに軌道q²+p²=1からの逸脱が大きくなってゆく。

つまり、オイラー法を用いた近似計算法はエネルギー保存則を満たす解法ではなないということだ。

 

オイラー法のこの欠点を改良したものにシンプレクティック(Sympretic)法と呼ばれるものがある。

オイラー法で用いる計算式(4)を次のように改良したもの。

 

  

 

この僅かな改良によってエネルギー保存則からの逸脱がかなり改善され、オイラー法の宿命的な欠点である時間の経過に伴う誤差の伝播、蓄積が解消される。

 

以下に、表計算ソフトを用い、シンプレティック法を用いて解いた計算結果を示す。




Symplectic-hyo-graph.png 

 

比較参照のために、シンプレクティク法とオイラー法を用いて解いたqと厳密解をのグラフを以下に示す。


Chowa-Euler-Symplectic-graph-001.png
 

さらに、シンプレティック法による数値解を(q,p)のグラフで表したものを示す。


Symplectic.png
 

オイラー法とは異なり、シンプレクティック法を用いた数値解はかなり良くq²+p²=1の円周上に存在していることがわかるだろう。

シンプレクティク法とオイラー法を用いて解いたq,pを元に計算したハミルトニアンHと厳密な値1/2との相対誤差

  

の時刻による推移をグラフに示す。


gosa.png
 

このグラフが示すように、1次精度のシンプレクティク法は完全にエネルギー保存則を満たすわけでないが、振動をしつつも常にある誤差の範囲内に収まり、オイラー法のように指数関数的に誤差が増大することはない。

参考までに2次精度をのシンプレクティク方による計算結果も示してある。

 

数値計算ではよくあることなのだけれど、(4)式を少し変え(5)式にし計算するだけで計算結果が劇的に変化するのだから、数値計算は奥が深いよね。

そう思いませんか?

そして、少しでもこうした数値計算に興味を持ってもらえれば幸せです。

 

なお、これらの議論をより正確にするためには、ニュートン力学の進化形である解析力学などの知識が必要になるので、感覚的に理解できれば十分ではないでしょうか。

 

参考までに2次精度のシンプレクティック法で解いた計算結果は以下に示す。


Symplectic2nd.png


今日のアニソン・アーカイブ 東方から『佐渡の二ツ岩』 [今日のアニソン・アーカイブ]

今日のアニソン・アーカイブは、東方から『佐渡の二ツ岩』です。


さらに、別のアレンジ曲も紹介するケロ♪




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セイラ4 2章の続き24 [セイラ4]

 ホトトギスが言い終えるのとほぼ同時に、カイが底抜けに明るい声で「姉ちゃんただいま」と言って、部屋に戻ってきた。恐怖から解放されたセイラは、カイの下に駆け寄ると、涙を浮かべ、小さなカイの体をしっかりと抱きしめた。

 寝台に振り落とされたホトトギスは、態勢を整えると、セイラとカイの信じ難い光景を目にし、呆然とした。

 彼の計画では、落胆したセイラを優しく慰め、その後、自分の命を賭して、あの憎き風花からカイを取り戻すことを誓い、決戦の場に飛び立つ前に嘴にセイラの熱いキスを受けることになっていた。そして、宿屋に向かっているカイに暴行を働き失神させ、意識を失ったカイを連れ帰り、再び嘴とセイラの唇を重ねる予定であった。

 完璧に近いはずの自分の計画は何処で破綻したのであろう。それに、どうして、カイがこんなに早く戻って来られたのであろう。

 彼は不思議であった。しかし、計画が破綻した以上、カイにだけこのままいい思いをさせるわけには行かなかった。それなりの罰を受けてもらわなくては、彼の腹の虫が納まらなかった。

 ホトトギスは、カイの頭に飛び乗ると、わざとらしい声を上げた。

「カイの額にある赤いのは何だ。キスマークじゃないだろうか。餓鬼の癖に、さては、娼館に行き、姉ちゃん達にちやほやされたんだろう。全く、とんでもねえ色餓鬼だ。」

「何、勝手なことを言ってやがる。これはお前が嘴で突いた痕だろうが。」

「嘘を言え。これはキスマークだ。カイの額を良く見てよ。そうすれば、僕の言っていることが真実であることが分かるはずだ。」

 ホトトギスとカイの言葉では、信頼度が全く違っていた。そうではあるが、セイラは念のためカイの額に目を転じた。こんもりと赤く腫れ上がった傷は、誰が付けたか、言うまでもなかった。

「あんたって奴は、どうしてどうしてカイ君のことを苛めるのよ。しかも、あんな酷いことまで言って、一体どういうつもりなのよ。」

 セイラの長い説教が始まった。

 

 ホトトギスは、カイからお湯を汲んでもらい、いつものように木桶のお風呂に入っていた。以前の子供子供していたカイの体が少し男性のそれへと変化しているのをぼんやりと眺めながら、早速カイに管を巻き始めた。

「ちったあ、成長したみたいだな。」

 カイが無視すると、カイの分際で生意気な奴だ、と憤慨し、更なる暴言を吐いた。

「しかし、お前の肌は綺麗だな。まるで女みたいに滑らかで、おいしそうだ。」

 ホトトギスのその言葉にカイは反応を示さなかった。カイのこの態度がホトトギスの苛立ちを更に募らせた、彼は木桶のお風呂から水の音を立てないように上がると、カイの後頭部を眺めながら、足音を忍ばせ、ゆっくりと忍び寄った。そして、ちびた石鹸に足を滑られ、仰向けに転び、後頭部を強か打った。「げえー」と言うけたたましいばかりの悲鳴が室内に響き渡った。

 

 それを聞きつけたセイラは、すっかりカイの悲鳴と勘違いし、「カイ君、大丈夫」と言って、浴室に乱入した。一糸纏わぬカイの姿を見て、そのまま固まった。固まったのは、セイラだけではなかった。カイも突如乱入したセイラの姿を見て、驚きのあまり固まってしまった。浴室の時間が暫く停止した。

 セイラの目は、彼女の意思に反して、次第に下の方に移動して行った。そして、一点で停止した。

 もちろん、彼女もそれをこれまでに目にしたことがあった。しかし、彼女の父親は、セイラが物憶えの付く頃には、彼女と入浴しなくなっていた。彼女が目にしたのは、小さな子供のものばかりであった。カイのそれは、彼女の知っているそれとは、全く別な存在であった。初めて男性のそれを目にしてしまった彼女は、瞬きをすることもなく、食い入るようにそれの細部の構造まで具に観察した。

 先にその呪縛から解かれたのは、カイであった。貴族の子弟として生まれ、その体を他人に見られることに慣れていたカイであったが、さすがの彼も、セイラの執拗な視線に羞恥を憶えた。どうしよう。カイは、善後策を模索し始めた。

 しっかり全てを見られてしまった以上、それを隠すのは、返ってお互いに羞恥を齎す。かと言って、このまま、好奇心を丸出しにしているセイラをそのままにして置くわけにはいかなかった。考えあぐねた結果、カイは、何気ない様子でこう語りかけた。

「姉ちゃん、戸を閉めてくれない。風が入って寒いよ。」

 いささかも羞恥心がこもっていないカイの言葉のお陰で、最小限の羞恥心を憶えるだけで済んだ。セイラは、微かに顔を赤らめ、しかし、未だカイの股間に熱い視線を送りながら、

「あっ、ごめんなさい。」

と言って、戸を閉めようとした。

 一方、セイラの愛人を自任するホトトギスは、事の成り行きに唖然として、床に転んだまま、カイの局所を凝視し続けるセイラの姿を見ていた。

 このまま、手を拱いていてはいけない。何か手を打たなければ。

 手を有さないホトトギスであったが、そう決心すると、突然けたたましい声を上げた。

 

「痛いよ、痛いよ、セイラ。頭が割れそうだ。助けてよ、セイラ。」

 助けを求める言葉を耳にしたセイラが浴室へ駆け込み、ホトトギスにこう言った。

「あんた、どうしたのよ。また、何か企んでいるんじゃないでしょうね。」

「違うよ。石鹸に足を滑らせて、転んだんだ。頭を打ったんだ。」

 ホトトギスは、そう訴えると、何処からか血糊を取り出し、頭に遣った翼で素早くその血糊を破り、後頭部からさも血が流れているかのように見せかけた。その血が水に濡れた床にゆっくりと広がって行った。ホトトギスは、後頭部でその様子を確認すると、血糊でびっしょりと濡れた翼をセイラに差し出した。

「鳥は血が止まりにくいんだ。だから、僕は出血多量で死んでしまうに違いない。」

 ホトトギスの言う通り、鳥は出血に弱い。血が止まりにくいのである。だが、セイラのホトトギスは、幾ら出血をしようが、五臓六腑を抜き取られようが、体をバラバラにしようが、死ぬことはない。古来から黄泉と現の世を行き来する鳥とされているホトトギスに、死と言う一文字は有り得なかった。

 ホトトギスとの長い付き合いで、そのことを知っているはずであるが、人の好いセイラは、鮮血に塗れたホトトギスのその姿を見ると、驚きの余り、そのことを失念してしまった。彼女は、「ホトトギス」と叫びながら、彼に近づき、それを拾い上げると、後頭部の手当てのために、血相を変えて、浴室を出た。死に真似をし、手の中でぐったりとしてみせるホトトギスの体をテーブルの上に静かに降ろし、早速、彼の治療に取り掛かった。

 神官と言う職業柄、ごく一般的な傷の手当てくらいなら、セイラにも簡単に出来た。セイラは、清潔なタオルで彼の後頭部に付いた血を綺麗に拭き取ると、縫合するために、傷口の在処を捜し始めた。大きなたんこぶは出来ているものの、何処にも傷口を発見できず、訝った。

「ホトトギス、何処にも傷がないわよ。」

「そんなことないよ。よく捜してよ。きっと血が固まって、かさぶたかなんかが出来ているはずだ。」

 セイラは、ホトトギスに言われるまま、後頭部の傷を捜した。それから暫くして、彼の言う通り、たんこぶの上に血が凝固し、こんもりと盛り上がっている所を発見した。セイラは、暫時、それを見た後、いかにも残念そうにこう言った。

「何だ、折角、あんたの傷を縫って上げよう、と思ったのに、これじゃ縫えないじゃない。」

 セイラの「縫えないじゃない」という言葉を耳にして、刹那、ホトトギスの表情が微かに曇った。彼は、先ほど感じた恐怖を隠すように、敢えて明るい声でセイラに尋ねてみた。

「縫えないじゃない、って、ひょっとして、セイラは僕の頭を縫合するつもりだったの。」

 セイラが頷くのを見て、ホトトギスは、今度ははっきりと見取ることが可能なほど恐怖の色を露にした。

「縫うっていうのは、冗談でしょう。第一、セイラは、縫合用の針を持っていないでしょう。一体どうやって僕の頭の傷を縫うつもりなのよ。」

「本気に決まっているでしょう。こう見えても、私は、簡単な傷の手当てくらいは出来るのよ。これまでに何度もあんたの手当てをしてきたから、このことをあんたは知っているでしょう。」

 セイラは、心外そうにそう言ってから、一呼吸置き、さらに言葉を連ねた。

「それに、私が裁縫セットをいつも携帯しているのを知っているでしょう。その針と糸で、あんたの傷くらい、ちょちょいのちょいと、縫って上げられるわよ。」


第10回 合成関数の微分法1 [ネコ騙し数学]

第10回 合成関数の微分法1

 

定理11

関数f(u)が区間Iで微分可能、関数g(x,y)が領域Dで偏微分可能かつ

  

ならば、合成関数F(x,y)=f(g(x,y))Dで偏微分可能で

  

である。

【証明】

変数yを固定すると、g(x,y)xのだけの一変数関数φ(x)と考えることができる。

1変数関数の合成関数の微分法より

  

ところで、

  

よって、

  

yに関する偏微分の場合も同様。

(証明終了)

 

上の定理は、u=g(x,y)z=f(u)とし、この合成関数z=f(g(x,y))の偏微分を

  

としたほうが、計算するときにも間違えることはないだろう。

 

 

問1 次の関数の偏導関数を求めよ。

【解】

u=x²+y²とおくと、(1)、(2)、(3)の関数は

  

と書き換えられる。

z = f(u)とおき、uで微分すると

  dai10-tahen-siki-001.png
u=x²+y²
の偏導関数はだから、

  dai10-tahen-siki-002.png

(解答終了)

 

問2 次の関係式が成り立つことを示せ。

(1) z=f(ax+by)のとき、

(2) z=f(xy)のとき

(3) z=f(x²–y²)のとき

(4) のとき

【解】

(1) u=ax+byとおくと、z=f(ax+by)=f(u)

また、

よって、

  

 

(2) u=xyとおくと、z=f(xy)=f(u)

また、

  dai10-tahen-siki-003.png

 

(3) u=x²–y²とおくと、z=f(x²–y²)=f(u)

また、だから、

  dai10-tahen-siki-004.png

 

(4) u=y/xとおくと、z=f(y/x)=f(u)

また、だから、

  dai10-tahen-siki-005.png

(解答終)

 

問3 z=f(x–ct)+g(x+ct)cは定数)のとき、

  

であることを示せ。

【解】

u=x–ct v=x+ctとおくと、z=f(u)+g(v)

また、だから、

  

よって、

  

である。

(解答終了)

 

波動方程式と呼ばれるもので、z=f(x–ct)+g(x+ct)はその解である。

 


ネムネコ、シンプレクティック法を使って微分方程式の数値積分をする!! [ネコ騙し数学]

かつてのネムネコ・ファミリー――某Q&Aサイト上のみでネムネコと深い交流のあったヒトたち――であるddt³さんから、シンプレクティック(Symplectic)法と呼ばれる数値計算法、微分方程式の数値積分法を教えてもらったので、バタバタとプログラムを作って計算してみた。

 

数値計算につかったモデルは、調和振動子

  

で、微分方程式は

  

で、t=0のときの初期条件を(q,p)=(1,0)として、1次精度のオイラー法と1次精度のシンプレクティック法を使って、この微分方程式を解いてみた。

進めるタイムステップΔt=0.1として数値的に解いた。

 

(1)式のHはハミルトニアンと呼ばれるもので、この場合、運動エネルギーp²/2とバネの位置エネルギーq²/2の和になる。力学的エネルギーが一定だから、(2)を数値的に解いた(q,p)をプロットすると、本来、数値解は

の円周上に存在しなければならない。

しかし、1次精度のオイラー法を用いて解いた数値解は時間の経過とともにp²+q²=1の円から離れていくんだケロよ。つまり、エネルギー保存則が満たされていない!!

軌道からどんどん離れてゆくから、時間の経過とともにエネルギーが増えていく!!


Euler1st.png
1次精度のオイラー法を用いた数値計算結果


これに対し、シンプレクティック法は、多少振動するけれど、力学的なエネルギーが保存されるんだケロ。


Symplectic.png
1次精度のシンプレクティック法を用いた計算結果


数値積分法は、

1次精度のオイラー法だと

  

1次精度のシンプレクティック法だと

  

だけの差なのだけれど、この僅かな差でこれほど計算結果が異なるというのは正直驚きだにゃ。


ネムネコは、日々進化しているにゃ。




今日のアニソン・アーカイブ FF8から『Eyes on Me』 [今日のアニソン・アーカイブ]

今日のアニソン・アーカイブは、FF8から『Eyes on me』です。


アニソンやゲームの主題歌を多く歌っているKanonのカバーver.も合せて紹介するケロ。


オリジナルを聞いた後だとKanonの歌はちょっと聞けないようですね。


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セイラ4 2章の続き23 [セイラ4]

 セイラがこうしたことに鈍感なことは知っていたが、ここまで鈍感だとは思わなかった。「姉ちゃんには内緒、酒屋、ああいう所、一人前の男、さらに精進落し」、これくらいヒントを与えれば、誰でもカイが向かった先がどこなのか、理解できるだろう。ホトトギスは嘴を大きく開いたままセイラの顔を見上げていた。そんな彼に、セイラがこう怒鳴りつけた。

「何、惚けたみたいに口を大きく開けているのよ。それより早く、その時のカイ君の様子を詳しく言いなさい。」

 ホトトギスは、気を取り直して、今度は直裁に言った。

「セイラ、カイが帰ってきても、怒っちゃ駄目だよ。これは、言ってみれば通過儀礼で、男ならば誰しも経験することなんだから。それから、今日は、赤飯を炊いて、カイを祝ってあげないといけない。」

「あんた、さっきから、ずっと変てこなことばっかり言っているけど、一体、何を言いたいのよ。さじゃないの。」

 鈍い、あまりにも鈍すぎる。世界の特別天然記念物、いや、セイラは、人間ではなく、セイラと言う新しい生物として分類されるべきではないか。

 ホトトギスは、呆れ果て、嘴を開く気力さえ失った。仕方がない。もはや直接的に言うしかない。ホトトギスは、意を決してその言葉を言った。

「カイのおどおどとした、尻込みをする様子のほかに、何処かうきうきとした表情を、僕は、変だなあと思って、ずっとそのことを考えたんだ。そして、カイが出て行って半時くらいしてから気付いたんだけど、カイはひょっとして娼館に出掛けたんじゃないかな。」

「まさか、カイ君がそんな所に行くわけがないでしょう。あんた考え過ぎよ。それに、カイ君は、まだ本の子供じゃないの。」

 セイラに即座に否定されてしまった。ホトトギスは、ライバルのカイを言い貶めるために、さらに話を続けた。

「カイは十四才だよ。見かけのかわいらしさに誤魔化されちゃ駄目だよ。頭の中身はともかく、カイの体は立派に大人なんだから、肉欲によろめいたって、何の不思議はないよ。今まで、そんなことを感じなかった方がむしろ不自然なくらいだよ。それに、ここは港町でしょう。船乗り相手のそんな所が一杯あるんだよ。それを見て、突然、肉欲を憶えたんじゃないかな。そうに違いない。」

 しかし、セイラはそんなホトトギスの話を一笑に付した。

「あんた、やけに詳しいじゃない。実は、あんたがそんな所に行きたいんじゃないの。だったら、行ってきたらいいじゃない。」

「僕はセイラ以外の女性に今日見ないもん。死んだって、そんな所に行くもんか。」

 ホトトギスはきっぱりと否定した。

「ならば、あんた時々夜中にこっそり抜け出しているけれど、一体、どこに行っているの。」

 空腹を癒すために、お供え物を盗み食いしている、何てことを神官のセイラに言えるはずがなかった。

「話が違うでしょう、セイラ。今、議論すべきなのは、娼館通いを始めたカイをどうやって正しい道に戻すかだよ。人相見に詳しい僕の見るところ、カイには女難の相があるよね。あんなに純粋だと、一度そういう所にはまると、何かに取り憑かれたように入り浸るようになると思う。それに、セイラも知っているでしょう、あのかわいらしさ顔で、魔界一の美女と言われている風花を誑し込んだんだよ。あの事件の真相はいまだ闇に包まれているけれど、実は誘惑したのはカイの方かもしれない。カイの心の奥底にある、肉へ強い憧れや願望に風花が単に応えただけかもしれない。そして、あの事件で性的なことに目覚めたのかもしれない。」

 今までホトトギスの話に耳を貸そうとしなかったセイラも、風花によるカイの拉致事件の話を耳にすると、俄かに顔を強張らせた。風花に傀儡のように操られていた(とセイラは固く信じている)カイが、風花の体に戯れかけている姿を現に彼女は自分の目で見ていた。ホトトギスの指摘する可能性を否定できなかった。

 あと一歩、あと一押しで、カイを言い落とすことが出来る。ホトトギスは、さらにセイラに話しかけた。

「僕としたことが迂闊だったね。何で今までこの事に気が付かなかったんだろう。もう、カイはこの世界にいないかもしれない。前回のことで、あいつも慎重になっているだろうし、今回はもっと難しいかもしれない。」

 ホトトギスのもったいつけた言い回しがますますセイラを不安にした。セイラは、言い知れない恐怖を憶えつつ、苛立ち紛れにホトトギスを怒鳴りつけた。

「何が言いたいのよ。はっきり言ったらどうなのよ。」

 ホトトギスは、諦めた様子で、セイラにこう告げた。

「カイは、あの時の記憶を取り戻し、風花の居城である風の城に行ったのかもしれない。風花の色香に惑わされ、この世のものとは思えない甘美な肉の喜びを享受するために、きっと、自らその無間地獄に落ちたんだよ。人間は弱い生き物だものだから仕方がない。あの絶対の歓楽を味わったら、忘れることなど出来ないよ。ああ、哀れなカイ。今ごろ風花と生まれたままの姿で愛し合っているに違いない。」